この記事の連載
- 双子パンダ新たなステップ【前篇】
- 双子パンダ新たなステップ【後篇】
上野動物園で初めて生まれた双子のジャイアントパンダ、オスのシャオシャオ(暁暁)とメスのレイレイ(蕾蕾)が離ればなれになります。双子が一緒の様子を観覧できるのは4月14日(日)まで。休園日の4月15日(月)を挟み、4月16日(火)から別々のエリアでの公開となる予定です。
双子を別々に飼育するのは、成長して体が大きくなるにつれ、じゃれ合いが激しくなったため。特にレイレイがシャオシャオを嫌がるそぶりをよくするようになりました。双子は仲良しですが、このまま同居を続けると、けがをする恐れがあると上野動物園は判断しました。
双子は2021年6月23日に誕生。母親のシンシン(真真)が出産直後から双子を一緒に抱いて、双子がシンシンの体で隠れたので、シャオシャオとレイレイのどちらが先に生まれたかは分かっていません。
双子はシンシンと一緒に暮らしていましたが、2023年3月19日の夕方、親離れしました。パンダは群れをつくらず、単独で生きる動物。縄張り意識が出てくると、相手が肉親でも攻撃することがあるため、飼育下ではそうなる前に別居させます。野生のパンダの子どもは一般的に1歳半から2歳にさしかかる時期に親離れするとされます。
親離れをしても、双子は体格が似ているのでしばらく一緒に暮らすケースが多く、シャオシャオとレイレイも一緒でした。筆者は、親離れの3日後にシャオシャオがレイレイに噛みつくのを観ました。その後も時折り噛みついています。そして3歳になる前に別居となります。3月15日(996日齢)の体重は、シャオシャオが72.6キロ、レイレイが76.3キロです。
飼育係は、安全な成分でできたインクを使って、シャオシャオの体に緑色のラインを描いてきました。夜間の録画や監視カメラの映像で双子を明確に識別するためです。緑のラインは、シャオシャオのトレードマークのようになっていて、園内で販売しているぬいぐるみなどのグッズにも入っています。
1頭で暮らすようになれば、緑のラインはどうなるのでしょう。上野動物園の副園長兼教育普及課長の冨田恭正さんに尋ねたところ、「完全に区別できるので、もうこれ以上、描くことはない予定です。水浴びなどをすると落ちやすいので、それらの加減によって異なりますが、1カ月くらいで消えてしまうのでは」とのことです。
2024.04.13(土)
文・写真=中川美帆