この記事の連載
【上野動物園】パンダにまつわる仕事#1
【上野動物園】パンダにまつわる仕事#2
【上野動物園】パンダにまつわる仕事#3
【上野動物園】パンダにまつわる仕事#4
![中国に行ったシャンシャン。(2023年10月12日、中国・四川省で筆者撮影)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/1280wm/img_6029bce68220810119492f250b8f0e07176125.jpg)
東京・上野動物園で生まれたジャイアントパンダのシャンシャン(香香)が中国へ行ってから2月21日で1年が経ちました。実はシャンシャンは、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しています。この話は、同園が2023年10月29日に開催した学生向けセミナー「飼育係だけ!? 動物園でパンダと働くシゴト案内」で獣医師が明かしました。
パンダに関わるさまざまな仕事を伝え、視野を広げてもらおうと企画されたこのセミナーの様子を中心に、上野動物園のパンダにまつわる仕事を4回にわたり紹介します。
パンダが食べ残した竹は東京湾の埋め立て資材に
![パンダに関わる仕事を上野動物園の担当者が紹介。(筆者撮影。写真のスライドの内容は上野動物園が作成。以下同)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/1280wm/img_224f18d30fe33aa34c3eb04ccb62a5dd78069.jpg)
![抽選に当たった中学・高校・専門学校・大学生、約60人がセミナーに参加した。参加者による撮影はメモとしてのみ許可され、SNSなどへのアップは禁止。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/1280wm/img_874d48f35e2f3b918783e6b0467973ad111549.jpg)
パンダにふれないけれど、パンダと関わりが深い仕事の1つが調整係。飼育係と同じ「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 飼育展示課」に所属します。(上野動物園は都立動物園で、東京動物園協会は東京都の指定管理者)。調整係の仕事は、動物の搬出入の交渉や血統管理、国内外の動物園との連携など多岐に渡り、エサの調達も担います。
パンダの主食は竹。上野動物園でパンダに与える竹には「害虫駆除用の農薬がかかっていない」「大きな道路から離れていて、排気ガスがかかっていない」といった条件があります。しかも竹は成長が早いので、竹を採る人は現地の状況に精通している必要があります。
そこで専門の会社が伊豆半島から1回につき約500kgを週4回採ってきています。この作業料や輸送費がかかるうえ、パンダは竹を選り好みします。与えられた竹の3分の1ほどしか食べないので、多くの竹を用意する必要があります。このためパンダは上野動物園でエサ代が1番高い動物なのです。
「あげた竹を全部食べないので、1日に1頭でどれくらいお金がかかるか(計算するのは)難しいのですが、2番目にエサ代のかかるゾウが1日およそ1万円で、その2倍以上と考えてもらっていいと思います」
調整係の担当者はこう指摘します。
![パンダは竹を選別する。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/d/1280wm/img_7dca18c572006744b46b950b49f546a967230.jpg)
なるべく無駄のないように、調整係は竹を採る会社の人に「今日の竹はよく食べた」「少ししか食べなかった」とパンダの食べ具合を細かく伝え、竹を選ぶ際の参考にしてもらっています。
2024.03.17(日)
文・撮影=中川美帆