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シンガポールで初めて生まれたジャイアントパンダのラーラー（叻叻）が繁殖のため、2024年1月16日（火）に中国へ行くことになりました。現地時間で午後7時15分にシンガポール航空の貨物機でチャンギ空港を発ち、午後11時30分頃に四川省の成都双流空港に到着する予定です。シンガポールと中国の間に時差はありません。
貨物機には、最大50キログラムの竹、タケノコ、果物、ペレット（栄養を補うビスケット）、水というラーラーの「機内食」を収納可能。キャビンの温度は、シンガポールでのラーラーの住みかと同じ15～16度に保ちます。
シンガポールからは獣医師と飼育員が同行するほか、事前に中国から来る中国の飼育員も同行します。ラーラーは成都に到着したら、四川省広安市の華蓥にある施設に向かい、そこで隔離されて検疫を受ける予定です。
ラーラーは2021年8月14日に約200グラムの体重で生まれた2歳のオス。東京の上野動物園で2021年6月23日に生まれた双子のパンダ、シャオシャオ（暁暁）・レイレイ（蕾蕾）と同い年です。
ラーラーとその両親がいる施設は「リバー・ワンダーズ」（以前の名称はリバー・サファリ）。日本人観光客もよく訪れる「ナイトサファリ」と「シンガポール動物園」の隣にあり、いずれも管理者はマンダイ・ワイルドライフ・グループ（MWG）です。
実はラーラーの中国行きは延期されました。当初、ラーラーの一般公開は2023年11月20日（月）までで、同年12月後半に中国へ行く予定だとMWGが9月22日（金）に発表していました。
当時、シンガポールの多くのファンにとって、ラーラーの中国行きは寝耳に水。SNSには「こんなに急なお知らせなのですね」「とても悲しい」「なぜそんなに早いの？ もう1年ここで過ごせると願っていました」「彼はまだ母親にしがみついています！」「今年は大変多くのパンダが中国に戻ったので、ラーラーは来年だと思っていました」といった驚きの声や寂しがる声が相次ぎました。
中国でのラーラーの住みかも話題になりました。ラーラーの両親、ジアジア（嘉嘉）とカイカイ（凱凱）は「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」（以下、パンダセンター）の「雅安碧峰峡基地」（以下、雅安基地）から来ました。雅安基地には現在、上野動物園から来たシャンシャン（香香）たちが暮らしています（参照：中国でシャンシャンに再会［前編］）。
ただ、9月下旬時点のSNSでは「雅安基地以外ならどこでもいい」というシンガポールの人のコメントが散見されました。背景には、雅安基地におけるタイ生まれのリンビン（林冰）への虐待疑惑もあると見られます。以前、雅安基地の飼育員がリンビンに竹を投げつけたように見える動画が拡散され、批判が巻き起こりました。シンガポールの人は、同じ東南アジア生まれのリンビンとラーラーを重ね合わせ、心配になったのかもしれません。
パンダセンターはこの動画について、屋内に戻らないリンビンを心配した飼育員が屋外でエサを与えたら、リンビンの頭と背中に当たったと8月31日（木）にSNSで説明。リンビンに大きな影響はなく、通常通り食事を続けていると伝えるとともに、同様の事件が二度と起きないよう、作業基準を厳しくして、飼育管理体制を強化したと述べました。
国境近くに位置する動物園
ラーラーの渡航が発表される20日ほど前、8月30日（水）に筆者はリバー・ワンダーズを訪れました。マレーシアのクアラルンプールから飛行機でジョホール・バルへ行き、バスを乗り継いで出入国審査を経て、シンガポールに入国。国境の近くから配車アプリGrab（グラブ）で手配した車に乗っておよそ10分（運賃は約1,000円）でリバー・ワンダーズに到着しました。
筆者が2017年11月に訪れたときは、クアラルンプールから飛行機でシンガポールのチャンギ空港に飛び、チャンギ空港からタクシーでリバー・ワンダーズ（当時はリバー・サファリ）へ向かいました。マレーシアから行くならこの方法のほうが、陸路で国境を超えるよりも楽です。チャンギ空港からグラブの車、あるいは地下鉄とバスで行くこともできます。
リバー・ワンダーズの開園時間は午前10時～午後7時（一部施設は異なる）。大人の入場料は、42シンガポールドル（約4,500円）ですが、シンガポールの国民や永住者らには割引制度があります。
2023.12.28(木)
文・撮影=中川美帆
