ジャイアントパンダのシャンシャン(香香)に会いに行きたいと思う人も多いでしょう。「中国でシャンシャンに再会(後篇)」では、公共交通機関を使って個人で行く方法や観覧のポイントなどを紹介します。
シャンシャンの中国での住みかは四川省の雅安(があん)。四川省の省都・成都から130キロほど南西に位置します。
筆者は6月12日(月)のシャンシャンの6歳の誕生日と10月11日(水)~12日(木)に一人で雅安基地へ行きました。6月は成田空港から中国国際航空の旅客機に乗り、上海で乗り継いで成都へ。10月の渡航時は四川航空の成都直行便の運賃がエコノミークラスで往復6万円台に下がったため(それでもコロナ禍前より高額)、直行便を利用しました。四川航空の機内食のカトラリーとお手ふきの袋、客室乗務員のエプロンにはパンダがプリントされていました。
10月10日(火)夜、成都天府空港に到着して、入国審査を終えると午後11時を過ぎていました。空港の近くに泊まって翌朝、車で空港へ行き、地下鉄18号線に50分近く乗車。地下鉄の運賃は10元(約200円)でした。
成都南駅に着いたら、高速鉄道に乗り換えます。雅安駅まで約1時間10分、運賃は2等席で54元(約1,100円)でした。2017年3月に雅安基地へ行ったときは、成都から満員のバスを乗り継いで疲れましたが、その後、高速鉄道が開業したので、早く楽に行けるようになりました。
雅安駅から「碧峰峡景区」を目指します。シャンシャンがいる「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」(以下、パンダセンター)の「雅安碧峰峡基地」(以下、雅安基地)は碧峰峡景区内にあるのです。バスでも行けますが時間が合わなかったので、今回はタクシーを利用することに。運転手に行き先を告げると、メーターの範囲外とのことで「60元(約1,200円)」と言われ、了承しました。
タクシーはくねくねとした山道を登り、雅安駅を出発してから約40分後に碧峰峡景区に到着。ツーリストセンターでチケットを買います。景勝エリアと雅安基地の入場料や、ツーリストセンターと雅安基地の間のバスの往復運賃を含むチケットを選び、大人一般の料金100元(約2,000円)をアリペイで支払いました。
6月の訪中時は、中国の銀行口座などがないとアリペイを使えなかったので、現金で支払いました。しかし7月下旬からアリペイもウィーチャットペイも日本発行のクレジットカードに対応するようになったので(関連記事「中国の大人気パンダ和花 後篇」)、10月の訪中では使えました。10月の1週間の中国滞在中、現金を使ったのは、「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」のカートの運賃30元(約600円)と、「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地・都江堰繁育野放研究センター(熊猫谷)」の入場料55元(約1,100円)を支払った時だけです。
碧峰峡景区のツーリストセンターから3分ほど歩くとバス乗り場があります。チケットを見せて乗車し、およそ15分後に雅安基地の入口近くに着きました。
筆者が泊まる宿もこの辺りにあるので立ち寄り、スーツケースを預かってもらいました。ざっと見渡しただけでも、雅安基地の入口付近には10カ所ほどの宿があります。ただ、外国人が宿泊できるか分かりません。筆者は、外国人も利用できる中国の旅行サイトで予約しました。
碧峰峡景区の公式サイトによると、雅安基地は2003年に設立され、面積は約70ヘクタールで、60頭以上のパンダを飼育しています。基地の出入り口には、飼育体験の料金表などが貼られていて、そばにはカート乗り場もあります。カートの運賃は一人20元(約400円)。筆者は歩きました。
入口から3分ほど歩くと、シャンシャンが日本から来て半年ほど過ごした検疫エリアが目に入ります。10月11日(水)時点では、9月27日(水)にオランダのアウエハンツ動物園を発った3歳のメスのファンシン(梵星)が検疫中。オランダから雅安基地までファンシンが入っていた可愛い輸送箱が見えました。
現在、シャンシャンが暮らしているのは「豹子山」というエリア。入口から歩いていくと、途中で道が二手に分かれます。一方はパンダをたくさん観覧できますが、階段の上り下りが非常に多いルート。もう一方は比較的、平坦なルートです。筆者は10月10日(火)に前者、10月11日(水)に後者で向かい、入口から歩いた時間はそれぞれ15分、10分でした。雅安基地は、長い斜面を利用してパンダを飼育しているのも特徴の一つです。一方で、観客には歩きづらい場所も多く、また、バリアフリー化は進んでいるとは言い難いため、注意が必要です。
2023.11.11(土)
文・撮影=中川美帆