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雨がよく降る

 雅安は雨がよく降ります。筆者の滞在中もたびたび雨が降り、土砂降りになったこともありました。日本の動物園では、大雨になるとパンダを屋内に入れることが多いですが、雅安基地はそうでもないらしく、シャンシャンも外にいました。シャンシャンは、雨は気にしていないようで、タケノコを夢中で食べていました。

 ちなみに筆者は雨に備え、100円ショップで買ったレインコートを日本から持参していました。雨が激しく降り始めたので、シャンシャンの観覧通路でそれを着たところ、白い全身がガラス壁にくっきり映ったため、写真に写りこまないよう慌てて脱ぎました。

 気温は、パンダがいる四川省の各地の施設を6月中旬に訪ねたら、雅安と成都が蒸し暑く、都江堰と臥龍(耿達)が涼しく感じました。しかし10月中旬の訪問時は、成都と都江堰と臥龍(耿達)が暑くも寒くもなく、長袖のシャツだけで過ごせるくらい。四川省の隣の重慶は半袖でいいほど暑かったです。一方、雅安は寒くて上着をはおりました。

 筆者の訪問時、雅安基地には観客用の食堂やカフェがありませんでした。6月12日(月)は、ベイベイがいる場所の近くで飲み物やアイスを売っていましたが、10月11日(水)~12日(木)は販売されていませんでした。

 そのためか、シャンシャンの観覧通路にいる中国の人たちは、お菓子や果物をたくさん持ってきていて、周りの人にも配っていました。筆者もお菓子の小袋やミカンをいただいたので(遠慮しましたが、くださいました)、日本からお菓子を持ってきてプレゼントすればよかったなと思いました。

 シャンシャンの登場を待っている間、近くにいた中国人の女性にシャンシャンをどう思うか尋ねたら、「とても美しいパンダです」とニコニコしながら答えてくれました。彼女はパンダが好きで、成都から日帰りで来たそうです。

 パンダグッズを扱うお店は雅安基地内に1カ所あります。10月は時間がなくて立ち寄れませんでしたが、6月にお店に入った時は、ぬいぐるみがたくさんあって、ピンク色のパンダのぬいぐるみも販売されていました。上野動物園で2017年12月に発売されて大ヒットした、生後10日目のシャンシャンがモデルの「ほんとの大きさパンダの仔 284グラム」と似ています。ただ、パンダセンターの「都江堰基地」と「臥龍中華大熊猫苑神樹坪基地」でも売られているのを2023年6月に見たので、シャンシャンがモデルではなさそうです。

 筆者が観覧した2日間に観客からよく見える場所でシャンシャンが寝ることはありませんでした。まだ慣れていないのだろうかと少し心配になりましたが、公開から1週間も経っていません。そもそも観客の有無に関係なく、草木が生い茂っている丘の上のほうが、居心地が良いのかもしれません。

 シャンシャンは日本を発つ前の2023年1月末に発情したことが初めて確認されました。パンダの発情期は一般的に2~5月ごろなので、シャンシャンは数カ月後にまた発情するかもしれません。繁殖も期待してしまいますが、まずはシャンシャンが引き続き、落ち着いて健やかに過ごせることを願います。

中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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2023.11.11(土)
文・撮影=中川美帆