![冬から春へ、季節の移ろいを表現した鍋料理「桜牡丹鍋」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/1280wm/img_0b9512f06b9284322e2f22a78b7bfe67190998.jpg)
鬼怒川の渓流に面した小高い丘の上に建つ湯宿「界 鬼怒川」。益子焼や黒羽藍染など、民藝に縁の深い土地ならではの設えとおもてなしに癒されます。後篇では、ご当地の名物や旬の素材をふんだんに取り入れた夕・朝食のほか、鬼怒川温泉駅すぐの立ち寄りスポットを紹介します。
春爛漫! 山川の旬を散りばめた特別会席
夕食は季節ごとに変わる特別会席を。民藝の代表格である益子焼を使い、山川の恵みをふんだんに盛り込んだコースです。全国の「界」で提供される“ご当地先付け”に始まり、煮物椀、宝楽盛り、揚げ物、台の物(鍋)、甘味が続きます。
まず驚くのが、一般的な会席の八寸・酢の物・お造りにあたる「宝楽盛り」。栃木県の伝統工芸である鹿沼組子と黒羽藍染を用いた台座には、素朴でぽってりとした風合いの益子焼が並びます。それぞれの益子焼には職人手作りの釉薬が使われており、その色合いと、食材の色との組み合わせも楽しみのひとつ。
![ご当地先付けは「牛肉とらっきょうのタルタル とちおとめのドレッシング」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/7/1280wm/img_b7decd7650cf6355ee97448c7f0e9948150741.jpg)
![煮物椀は「桜餅の海老射込み 蚕豆のかき揚げ 花びら茸」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/e/1280wm/img_0e44e9fe719817b67bab25e2188bd7c5164013.jpg)
![各テーブルで歓声が上がる「宝楽盛り」(写真は2人分)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/1/1280wm/img_51110f3d3784b327c74768418c77761d319719.jpg)
![お酒が進む色とりどりの肴、酢の物、お造りと盛りだくさん。ぜひ栃木の地酒とともに。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/1/1280wm/img_51eebd65f1c3c800418ae9ea055611d9173648.jpg)
![この日の揚げ物は、白魚の四彩揚げ、甘鯛の桜花揚げ、春野菜の天ぷら。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/e/1280wm/img_aeb163dd726b911e5b54e8a58f3cc957135233.jpg)
メインは、桜鱒と猪肉をそれぞれに合った出汁で味わう「桜牡丹鍋」。ぼたん肉とも呼ばれる猪肉は、肉の旨味を引き立てる山椒鍋出汁で。桜鱒はあまごの焼干しからとった出汁にさっと通して、木の芽おろしと一緒にさっぱりといただきます。
そのほか、根ぜり、うるい、こごみ、たけのこ、春ごぼうなど、旬の山菜、野菜もたっぷりと。それぞれの出汁に素材の香りや旨みが加わり、ますますおいしくなったところで、〆の湯波うどんを投入。はふはふ、つるんとお腹に収まり、大満足の晩餐です。
![オリジナルの鍋にも、ぼたんと桜の絵がついてなんとも華やか。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/1280wm/img_f9f37e47a0a40769becc634b6cd621c3151526.jpg)
![さっぱりと食べられるうどんで、だしも残さずいただき完食。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/e/1280wm/img_5e6535b5e599c3ba4b1f8ed5cd1778ab111363.jpg)
![デザートは「豆腐羹 ゆず風味」。実はゆずも栃木の名物。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/e/1280wm/img_ce5ed9eb0080160a258003432dbd0776116578.jpg)
![食事処はプライベート性の高い半個室のほか、中庭に面したカウンター席も。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/1280wm/img_c6e7e0b1e0910a7ee5a1585b7e687244183863.jpg)
2024.04.03(水)
文=伊藤由起
写真=志水 隆