今、みんなが最も気になっている、
“いろいろあった美白の未来は一体どうなるの?”
(2) 目もとの色素沈着とくすみを解消しながらシワ・たるみもケア。エクシア ALホワイトニング アイクリーム[医薬部外品] 15g 19,440円/アルビオン(4/18発売)
(3) 天然の美白成分コウジ酸を活用したロングセラー美容液がリニューアル。ホワイトロジスト MX[医薬部外品] 40ml 15,750円/コスメデコルテ
ニュースでは、今もたびたび取り上げられる美白化粧品による深刻なトラブル。多くの人が“美白そのものに対する不安”を抱えているに違いない。「美白は果たして安全なの?」「この先も、美白を続けて大丈夫?」みんなが疑心暗鬼になっている中、気がつけば、また美白の季節になってしまった。だからあらためて考えた、本当のところはどうなのか?
ハッキリ言って、今年も例年とあまり変わらないくらいの勢いで、美白の新製品がデビューする。もちろん中には、新製品の発売を見合わせようかと考えたメーカーもあるようだが、フタを開けてみれば、けっこう強力な美白が続々。美白全般への不信感をどう払拭するつもりなのだろうか。
そういう意味で、たとえばコスメデコルテからデビューする3代目ホワイトロジストMXの“説明”は、とてもわかりやすく信頼できるものだった。この美容液の1代目のデビューは10年前。以来“コウジ酸美白”のシンボルとしてロングセラーであり続ける一品だが、ご存じコウジ酸は、もともと“酒や醬油をつくる人の手が白く美しいこと”から注目を浴びた“麴”を、化粧品成分にしたもの。それだけでも酒や醬油の歴史が“安全性”を保障してくれている。しかもホワイトロジスト自体、10年間ですでに100万個売れていてトラブルはなし。それだけでもう立派な保証書になる。
それがどんな安全を物語るのかと言うなら、コウジ酸は細胞を傷つけないという事実。今、問題になっているのは、“ロドデノールなる美白成分”がメラニン生成を抑えるとともに細胞を壊す可能性があること。本来メラニンは、紫外線から細胞を守るために生成され、一方で肌の味方でもあるから、そういう肌機能そのものまで傷つけてしまってはいけない。安全な美白成分は過剰なメラニンだけを抑制する。それが証明されている成分なのだ。そのコウジ酸が今回強化され、製品の進化に繫がった。
ビタミンCやプラセンタなど、良く知られる美白成分も、その歴史が安全を物語っていると考えていい。ただ今回、ちゃんと厚労省のお墨付きを得た美白の薬用成分に問題が生じたことは知っておくべきだろう。
一方で、今年の美白は、メラニンの抑制とは別の方法で白さと明るさをつくっていこうというアプローチも目立っている。たとえば、SK-Ⅱの新美白、セルミネーションのオーラエッセンスは、“強化”のポイントをオーラづくりに置いた。表皮の顆粒層という場所に“肌オーラ”をつくるガラス粒のような物質を発見。これを増やす効果を加えたのだ。一方、アルビオン エクシアALの美白アイクリームは、顔の中でいちばん嫌な暗みは、目の下の袋たるみがつくる影、顔の真ん中にどんと鎮座するいちばん大きな影だと考えた。じつはこの袋たるみの原因は、眼球を支えるいわゆる靭帯のゆるみ。同時に、まぶたの脂肪や血行、リンパにも働きかけてクマも消し去り、影のない真に均一な肌色をつくるドラマティックな美白となった。美白の混迷は、逆に今、意外な進化をもたらそうとしているのだ。美白はやっぱりやめられない。
ちなみに「今年も美白をしたい人」は約6割にのぼるとか。みんなめげないのだ。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2014.02.20(木)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫