この記事の連載
うつわのある暮らしには憧れるけれど、どんなふうに集めていったらいいんだろう……? うつわを手軽に、上手に暮らしに取り入れるためのヒントを求めて、達人たちを訪ねました。
◆Vol.11 お話を聞いた人 髙はしこごうさん
何もないところから好きなうつわに出合うって難しいと思います
はじめは「ものまねでいい」んじゃないか、と私は思っているんです。インスタなどを見て「この人のうつわの使い方、素敵だな」と思った人のまねで。その人の料理とうつわの組み合わせ方をまねてみたり、素敵と思ったうつわに似たものを探してみたり。何もないところからうつわを探して好きなものと出合うって、難しいことですから。
ただそのとき「自分の手元にあるものに足していく」、という意識はあったほうがいい。手持ちのうつわとあまりにも合わないものだと、浮いてしまいますからね。そこを気にしつつ、最初に足すなら「ベーシックなアイテム」をひとつ買ってみる、というのが失敗しにくいです。
では何がベーシックか? ファッションと同じように考えればいいと私は思うんです。いくら「好き!」と思ってもいきなり、コム・デ・ギャルソンの個性的な服を買ったら手持ちのものと合いにくいし、値段もそれなりにするから買ったはいいけどなかなか袖を通さないというようなこと、ありませんか?
うつわも一緒なんです。好きという勢いだけで作家ものを買うと「傷つけたら怖いな」と思ったり、他の食器と合わせにくかったりして、結局あまり使わないことがある。
最初に買ってみるなら、無地の角皿なんてどうでしょうか。
多くの人は丸皿を買いがちですよね。手持ちのもの、丸皿が多いのでは? そんな中でひとつ角皿があると、食卓の雰囲気が変わります。また、食卓におさまりやすくもなるんですよ。丸皿だけだと場所を取り合ってしまうから。
丸皿にプラスするなら、楕円形、つまりオーバルのお皿もおすすめ。こちらもひとつあると食卓がコンパクトにもまとまりやすい。シンプルなオーバル皿と個性的なデザインの小鉢を合わせる、なんてのも楽しいですよ。
2024.03.14(木)
文=白央篤司
撮影=平松市聖