この記事の連載

 うつわのある暮らしには憧れるけれど、どんなふうに集めていったらいいんだろう……? うつわを手軽に、上手に暮らしに取り入れるためのヒントを求めて、達人たちを訪ねました。


◆Vol.10 お話を聞いた人 吉田美穂子さん

吉田美穂子さん

愛知県生まれ、東京都育ち。会社員時代に器の楽しみに目覚め、和食器専門店での勉務を経て独立する。1997年「宙 SORA」を目黒区碑文谷にオープン。手なじみのよい、日本人の暮らしにフィットするうつわをバラエティ豊かに揃えている。
https://tosora.jp/


自分の生活に向き合うとおのずと買いたいものが見える

 日常生活で「自分が一番よく使うもの」はなんでしょうか。

 パンかごはんか、あるいはパスタやカレー、ケーキなど、ご自身が好きでよく食べているものを具体的に考えてみてください。あるいは好んで飲むものはなんでしょうか。

 日頃最も手にしているものを、まずは買ってみませんか。お気に入りのうつわがひとつでも見つかると、今まで使っていたものがちょっと物足りなく感じられてくると思います。そうすると、次に買いたいものも自然と繋がって見えてくると思いますよ。

 最初にそろえていかれるなら、こんな組み合わせがいいのではないかと思い、用意しておきました。ごはん茶碗、汁椀、そば猪口、6寸(直径が約18センチメートル)のリム皿、8寸の平皿です。

 ごはん茶碗は「手取りのいいもの」を選ぶのが大事です。手に取ってみて、しっくりくるかどうか。今回は清水なお子さんのごはん茶碗をご紹介します。絵付が合って、ちょっと華やかでしょう。無地のうつわの中にこういうものが1点あると、食卓がパッと明るく、楽しくなります。小鉢としても使えますよ。

 蜂谷隆之さんの作る漆椀、本当は飯椀なのですがスッとした形で汎用性が高く、汁椀としても、あるいは小鉢としても活躍してくれます。アイスクリームやあんみつなどを入れてもよく合いますよ。高台の高い「くらわんか」と呼ばれるデザインで、使い勝手のいいものです。

 そば猪口はひとつあるといろいろ使えて、本当に便利なもの。お茶やお酒はもとよりコーヒーにも合いますし、小鉢としても使えます。私は毎朝ヨーグルトを入れるのに使っているんです。

2024.02.13(火)
文=白央篤司
撮影=平松市聖