とにかく捨てればよい? ちょっと待った!
少なくなれば収納もしやすくなるので、とにかく捨てたら良いんでしょう? そう思っている方も少なくありません。ここで、印象に残っている、あるお客様のケースをご紹介しましょう。
上のお皿は、お客様が一瞬迷って、「処分する」と決めたグラタン皿。グラタンはもう作らないとおっしゃるのです。そんな時間も無いしと。ここで「ちょっと待った!」
私にはそれまでお客様のお話をうかがった中で、このお皿を使いこなす姿が浮かんできました。お嬢様を塾に送り出すときの軽食を出すのに便利。おにぎりとちょっとしたおかずを並べても可愛い。お嬢様のお友達が沢山きたら、ポテトチップスや果物をのせても絵になる。現にお客様はポテトチップスを作るグッズを、娘と使いたいと残していたのです。「いつもは1人でインスタントラーメンなどですませている昼食も、お部屋が片付いたらお友達を呼んでランチ会をしたい」というゴール目標もあり、そのお皿を楽しそうに使っている様子が想像できました。
次の作業に伺った時に、ランチをごちそうになりました。クミンの香り漂うパンに、クルミのサラダ、生ハム、マッシュルームのスープ。嬉しそうにこのグラタン皿に盛りつけて下さいました。
「クリスマスにこのお皿が大活躍でした。久しぶりにグラタンも作ったし、他にも前菜をのせたり。このお皿の出番に家族も喜んでいました。キッチンが片付いたら、出し入れが楽で何もかもが使いやすくお料理もはかどって。それに、考えてみたらマレーシアで買った大事な思い出の品だったんです……ありがとう」
空間が片付けば幸せになるのではない。空間が片付いた後の生活が楽しくなること。家族が仲良くなって、自分時間も楽しめる。そんな“片付けの先”を見つけることが、私の仕事です。
Column
鈴木尚子のもっと心地いい収納スタイル
CREAのインテリア特集に収納エキスパートとして登場し、“収納ベタ”読者にズバリ適切アドバイスを施した片付けのプロ、鈴木尚子さん。「実は片付けが大の苦手だった」鈴木さんが、結婚・出産を機に見つけ出した片付けの極意とは? 理想の空間や暮らしに近づいていく整理術とは? ご自宅のプライベートフォトを添えて、分かりやすくご紹介します。
2014.02.16(日)