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「ひょいと乗っかってみようという度胸だけはある」

 いざ、話は『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』について。対談の15人が、谷川俊太郎さん、小泉今日子さん、中野信子さん、養老孟司さん、坂本龍一さんほか、職業年齢バラバラの錚々たる人たちなのである。人選の基準について聞くと、

「実は、15人はリストアップしたんじゃなくて、『週刊文春WOMAN』という季刊誌の連載だったので、その都度、今その人にこそ会いたい、という風にオファーしていったんです」

 ええっ、まさかのいきあたりばったり!

「自分でも、よくぞ自然とこの色合いになったなと思います。あのとき、あの瞬間でしか出会えない一期一会で。私の人生そのものも、計画性がなくて(笑)。9歳の時に留学したのも『行きたい?』『行く』で、数週間後に行ったり、結婚もお付き合いもちゃんとせずこうなって。訪れるタイミングに深く考えず、ひょいと乗っかってみようという度胸だけはあるんです。悪く言えば、後先考えないんですね」

 ううむ、そういうところはやはりロックンロール。

「はからずも、若い人と接点がない……。一番若い方で中野信子さんが同い年。シャルロット・ゲンズブールさんも少し年上だし、年下がいないんですよね。それどころか、オーバー80の方も多くて」

 確かに1番手からいきなり、92歳の谷川俊太郎さんだ。

 対談を思い出したのか也哉子さんはとても嬉しそうに微笑んだ。

「大きな大樹の年輪に触れているような――。なにものにもかえがたい時間でしたね」

 私も『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』を読み、個人的な感想だが、対談はどれも「人生のゆきあたり」感が漂っていた。もしかしたら、也哉子さんの後先考えない進行が、そう感じられる何かを生んだのかもしれない。

2024.02.15(木)
文=田中 稲
撮影=佐藤 亘(ポートレート、書籍)、編集部(イベント風景)
ヘアメイク=渡邉ひかる(ambient)