この記事の連載
薗部真一さん[編集者・元「このマンガがすごい!」編集長]
Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?
●『クジャクのダンス、誰が見た?』浅見理都/講談社
元警察官の父を殺した犯人は父が警察官時代に関わった一家6人殺害事件の犯人・遠藤力郎死刑囚の息子だった。冤罪を妄信する息子の怨恨による犯行かと思われたが……。衝撃のクライムサスペンスマンガ。
「まだ4巻だし、張り巡らされた複線の数から、解決までの道のりは長いかも。でもそれぞれがフェアに貼られている(ように見えるので)、もう少しで真相にたどりつけそうにも思えて絶妙……。夜中に推理も楽しい」
●『いやはや熱海くん』田沼朝/KADOKAWA
「最近流行りの“あの”感じかと思いきや、さりげなくBLしていたり、ほっこりしつつも、ちょっとハラハラしてしまう。――先日書店で、聞こえよがしに、そんなことを友人に話していたら、見ず知らずのカップルが単行本を買っていって、仲間が増えた気分。みんなも熱海くんの今後を一緒に見守ろう!」
●『胚培養士ミズイロ』おかざき真理/小学館
「読者の心を散々かき乱して、ラストでホッとさせて、それでいて胸にざわついたものをたしかに残す作者の手腕と作品のテーマがマッチして、夜読むには少々えぐってくる作品かも。でも次の朝、ふと、このマンガのことを考えて、少しだけ“命”に優しい気持ちになっている自分もいました」
Q2:夜ふかしマンガの楽しみ方は?
「適当なテレビをつけながら、タブレットでマンガを読みながらゴロゴロする時間は至福です」
Q3:いま、特に注目している作品は?
●『いつか死ぬなら絵を売ってから』ぱらり/秋田書店
「絵の才能のある人が見ている風景を体験できる、マンガならではの表現に感服。SNSで1話がバズった作品が、この熱量をキープし続けられるか注目しています!」
Q4:期待の新人作家とその作品は?
●『リヴァイアサン』黒井白/集英社
「フランスでヒットして、『ジャンプ+』に逆輸入されたSFもの。完結し、全3巻とお手頃なので、夜ふかしして読めば、一晩で謎が全部すっきり解けてラストまで。カタルシス半端ないです」
Q5:深夜ひとりでコッソリ読みたい作品は?
●『明日クビになりそう』サレンダー橋本/秋田書店
「こんなバカなマンガを読んでいると思われたくないけど、仕方ないので。すげえバカな主人公で適当に笑って、明日を迎えてください」
薗部真一(そのべ・しんいち)さん
編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
文藝春秋編集者。担当作に『週刊文春エンタ+』『証言「機動戦士ガンダム」』『この世界の片隅に 対談集』(文藝春秋)『翔んで埼玉』(宝島社)など。
※推薦者のアンケート回答は2023年9月7日発表の「夜ふかしマンガ大賞2023」に寄せていただいたものです。現在とは作品の情報等が異なる場合があります。
CREA夜ふかしマンガ大賞2023
2024.01.27(土)
文=大嶋律子(Giraffe)
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