「ホテルにステイする時間、それをなにより大切にしています」
今年、ヒルトンが提案する旅のスタイルが「とまるところで、旅は変わる。」
そこで、独自の “自分らしく” “前向き” なスタイルで多くの支持を集めるファッションエディター・スタイリストの大草直子さんに、彼女ならではのホテルステイのカタチをうかがいました。
ライフスタイルのなかで、旅は大切なものという大草さん。最近でも、海外だけで10数回の旅を経験したそう。
「これまで多くの旅をしましたけれど、行かなければよかったという旅は、ひとつもありません。そんなこともあってか、元気になりたい、心の目を開きたいというときには旅に出ます」
なかでも、とくに思い出深い旅先がカリブ海に浮かぶ、とある島国。
「それまで勤めていた出版社を辞めて最初の旅で訪れました。ホテルにチェックインすると、プールがあってそこには大きな飛び込み台が。高所恐怖症なのに、高揚した気分で “なんでも挑戦しよう、やり遂げよう” と階段を登ってはみたものの、うわ、どうしよう……」。
「でも、思いきって飛び込みました。するとプールサイドから大歓声と大拍手。ホテルのスタッフも “乾杯!” とビールを持ってきてくれて。そんな瞬間があるから、旅はたまらないですよね」
ホテルで旅先を決めることも多いという大草さん。その過ごし方で大切にしているのが “内省” の時間だといいます。
「2021年に自分の好きなことを詰め込んだ雑誌『AMARC Magazine』を創刊しました。雑誌を読んで育ってきましたし、最初の仕事もファッション誌の編集者でしたから、やはり “紙” が大好きなんです。そのアイディアが生まれたのも実はホテルだったんです」
SNS、ブログ、ウェブでも多くの読者の支持を集める大草さん。デジタルも紙も、両方あるからこそ自分の伝えたいことを表現できると考えているそう。
「デジタルの世界では、自分の伝えたいことが瞬時に読者に響きます。SNSの場合、移動中の10分ほどで原稿を書くこともありますが、雑誌は一冊を作るのに数カ月もの時間を要します。かけた時間の分だけ、きっと人の記憶にも長く残るのではないだろうか……。隔絶された空間であるホテルのお部屋にステイして、静謐な時間が流れるなか、そんなことに思いを馳せました」
そんな大草さんがホテルを訪れる理由。それはこのひと言に凝縮しています。
「本当にホテルが好きだから」
旅とともにホテルは、ライフスタイルに欠かせないものなのです。
2024.01.22(月)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵