─── 2011年9月2日(金)
祝! はるまき1歳! とりあえずふりかけごはんの上に「1」の形に切り取った海苔を載せて祝福。本人まったく気に留めず。
円山動物園に行く予定だったのだが、あいにく台風の影響でずっと雨。日中は室内でいつもどおりにだらだらと過ごす。夜はホットケーキにヨーグルトと果物でデコレーションしたバースデーケーキもどきで祝福。はるまきを新聞紙の上に座らせ、目の前にケーキを置くとさっそく手を伸ばして食べ始めた。これははるまきのために作られたケーキであり、誕生日プレゼントでもあるので、両手でぐちゃぐちゃにかき回そうが果物を放り投げようが、親が口を出すことではない。はるまきは取り憑かれたように遊び、口から足までヨーグルトまみれにして食べた。そして時々私や夫の口に、べたべたの手で果物を入れてくれた。
─── 2011年9月3日(土)
はるまき、ついに直径80㎝くらいのちゃぶ台を手押し車の代わりにしてずんずん移動。ぼうっとしているとちゃぶ台にはねられる危険な家になってしまった。椅子かちゃぶ台さえあれば歩行できてしまうので、今のところ2本足で歩く気がさらさらないようだ。でもそのうち歩き出すはずだし、面倒なので特に指導はしない。
相変わらず親の口に食べ物をおすそわけするブームは続いている。入念に咀嚼(そしゃく)したのち口から取り出し、私の口へ放り込むのが今日の方式のようだ。いくら赤ん坊といえども、人が口の中でぶちゅぶちゅにした食べ物を食べるのはちょっと辛いものがある。これは嫌がらせなのか? しかし夫は「食べやすいように柔らかくしてくれているんだよ。優しい子なんだよ」とはるまきの肩を持つ。
─── 2011年9月4日(日)
はるまきをベビーカーに乗せて子育て支援センターへ遊びに向かっていると、向こうからエビフライが中年女性に連れられて歩いてくる。正確に言うとエビフライの着ぐるみだ。エビフライの衣とも言える。一体何者なのかまったくわからなかったが、街を歩いていてエビフライに会えることもそうなかろうと思ったので、中年女性に了解を得てはるまきとエビフライのツーショット写真を撮ることにした。かたやおどけたポーズでベビーカーの横に立つエビフライ。かたやシュウマイのように顔をくしゃくしゃにして怯えるはるまき。今にも泣き出しそうだったが、はるまきなりにエビフライに気を使ったのかなんとか耐えきった。
帰宅後に調べたところによると、エビフライはフラちゃんという名前で、企業や団体のキャラクターではなくどうやら個人で活動しているらしい。そして別に食品としてのエビフライを推しているわけでもないっぽい。ネットでいくら検索してもフラちゃんの目的はまったくもって不明。営利目的ではない着ぐるみが存在し、自由に街を闊歩(かっぽ)しているというのは驚きだ。札幌という街の底が知れない。
─── 2011年9月5日(月)
授乳中、はるまきが私のヘソを掘る。上の服をまくりあげて腹を丸出しにして授乳をしていると、はるまきが指をヘソに突っこみ、ドリルのようにぐりぐりと責めてくるのだ。とにかく手で何かをいじっていなければ乳が飲めない仕組みになっているらしく、ヘソ以外にも胸の肉をつかんだり腹の皮をつまんだりと忙しい。そしてどれも力一杯なので痛い。友人も授乳中に胸の間にあるホクロをひたすらいじり倒され、かさぶたになったらそれも剝がされ治らなくなり、しかたなく絆創膏で隠すと激怒・号泣されたと言っていた。
赤ん坊が大人しくチュウチュウと乳を吸い、それを母親がうっとりと眺めているなんて図は幻想だ。もしそういう親子がいたとしたら、母親が周りには見えないように赤ん坊の両手をギュッと握って自由を奪っているに違いない。
─── 2011年9月6日(火)
朝、ヘソに違和感を覚えて目を覚ます。腹のほうに目をやると、なぜか服がめくり上げられている。そして私の傍らに座ったはるまきが、狂った外科医のように薄ら笑いを浮かべながら人差し指でヘソをほじくり回しているではないか。朝からなんなのよ……と、大学生の元気な彼に寝込みを襲われた性欲減退中の26歳OLのような気分で服をずり下げるも、大学生よりも元気なはるまきはめげずに何度でもめくり上げてくる。さらにほじるだけでは物足りないのか、興奮でよだれまみれになった口をバフッと私の腹にうずめ、「ん~まっ! ん~まっ!」と声を出しながら頭を上下させている。あまりの真剣さに気圧された私は、変態乳幼児の変態行為に身を委ねるより他なかった。
あとになって何だかヘソが熱い感じがするので確認すると、どんづまり部分が真っ赤に染まっていた。人生初のヘソ腫れ。