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女性の産後ケアに使われてきた「よもぎ蒸し」

 それに、よもぎは食べるだけではないのです。よもぎは二千年以上も前から、鍼灸治療で使われていました。「もぐさ」という単語を聞いたことはありませんか? よもぎの裏の白いところをかき集めたものが「もぐさ」で、お灸に詰めて火で燻して使います。

 もうひとつおすすめしたい活用法が、私が韓国に遊びに行くときは必ずスケジュールに入れる「よもぎ蒸し」。よもぎを焚いた蒸気で下半身を温める民間療法ですが、600年以上前から女性の産後ケアに使われているそうです。一説では中国の楊貴妃が自身の美容と健康のために考えだしたとも。これだけでも効果を信じたくなりませんか?

 身体の芯を温めて発汗させることで新陳代謝を高めるよもぎ蒸し。韓国の女性が元気なのは、食べ物だけでなく、「よもぎ蒸し」の習慣も理由のひとつでしょうね。熱いサウナが苦手でも、顔は外に出ていて息苦しさはないのでおすすめですよ。最近では、よもぎの効果を気軽に試せる女性のためのナプキン型温熱パットも売られているので、試してみてください。

まずはよもぎ茶からはじめてみよう

 では、よもぎはどこで手に入れたらいいんでしょう? 川の土手や田舎の畔道などに生えているイメージだと思いますが、実は探してみると、東京でも我が家のワンちゃんたちのお散歩コースにある、車道脇の街路樹の根元に生えていたりするんです。でも車の排気ガスまみれのよもぎはあまり口にしたくないですよね……。地方では春先にスーパーマーケットの野菜コーナーで売っていたりしますが、一年中は見つけられないので、インターネットや健康食品店で、使いやすいよもぎパウダーを探してみてください。

 私はお料理にこのパウダーをよく使います。白玉団子に混ぜてよもぎ団子、小麦粉に混ぜてよもぎ蒸しパン、ちょっと甘くしてよもぎマフィン、自家製のよもぎパスタも作りますよ。この前は肉まんの皮にもいれて、緑色の肉まんを作りました。ふんわりよもぎの香りがして、ちょっとリッチな味になりました。私の薬膳料理教室でもたくさんのバリエーションを教えています。

 簡単にお茶として飲むのもいいですね。私は富山県のあるメーカーさんにお願いして自然の野山で採取してもらったものを沢山ストックしてあるのですが、乾燥させただけのよもぎにお湯を注ぎ、日常的にお茶としてそのまま飲んでいます。

 まずはよもぎを日常に取り入れることからはじめてみましょう。さぁ、皆さん、レッツよもぎ!

谷口ももよ(たにぐち・ももよ)

「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材を使った簡単で美味しい薬膳レシピを提案。なかでも豆腐や野菜を中心としたよりヘルシーな“ベジ薬膳”を提唱する。薬膳料理教室を主宰し、講師育成の薬膳講座を全国で展開。レストランへのレシピ提供や企業との商品開発など活動は多岐にわたる。著書も多数出版し、『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』(講談社)、『5色の野菜でからだを整えるべジ薬膳』(キラジェンヌ)で、グルマン世界料理本大賞グランプリを2度受賞。「東洋美食薬膳協会」代表理事、「全日本薬膳食医情報協会」名誉顧問、「日本豆腐マイスター協会」理事、薬膳料理教室「Salon de Maman」主宰。国際中医師。

●谷口ももよ公式サイト https://yakuzen-salon.com/
●東洋美食薬膳協会 https://orientalyakuzen.com/

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