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古川さんが挑戦する女装は絶対に見逃せない!

――では、古川さんの中ではどんなルパン像を描いてお稽古をされていますか?

 原作で読んだ自分のイメージの中にある“ルパン”と、今回求められている“ルパン”は違うなという印象を受けています。原作のルパンはとても自由奔放なキャラクターで、頭の回転も速い。機転も利くし、あらゆるモノに変装するという対応力もある。恋愛事情も奔放で、先ほども少し触れましたがアニメのルパン三世に近い感じなんです。

 今回の『LUPIN』で描かれるルパン像は少しニヒルな感じだと思います。自由に生きていて、恋多き男でありながら、変装の名人でもあり……というベースは変わりませんが、感情が読めないような演技を求められています。

 もうひとつ、この作品でのルパンは“ダークヒーロー”として描かれているところも特徴的です。やっていることは盗みなので“悪”なわけですが、弱者の味方であることが原作よりも強調されています。例えば、原作ではルパンと触れ合った人だけがルパンの本質に気付いていくのですが、今回は冒頭から皆に称えられているヒーローという具合。でも、ルパンのことを“いい人”として描いてはいないので、そのギャップも演じていて楽しいです。

――ルパンを演じるうえで、所作や立ち居振る舞いでのこだわりや意識されているポイントはありますか?

 ルパンの所作的なところで言うと、むしろ“ルパン”を演じているときには何もしないでおこうかなと思っています。お芝居の中でいろんな役柄に変身するのですが、わりと奇抜な役柄が多いので、それらを演じるときとルパンの元の姿の間に“違い”があったほうがいいかなと思っていて。

 それなら、ルパンを演じるときはいっそナチュラルにいようかなと。所作的にキレイに見せるというよりは自然体のものを表現できたら良いなと思います。

――今回はダンスやアクションも多いと聞いています。活劇的なシーンで、古川さんが「ここが一番すごい!」と思っている見どころはどこでしょう?

 すごいところだらけです!(笑)

――その中で敢えて、いくつか挙げていただくとしたら!

 先ほども少し触れましたが、僕が女性に扮して、伯爵夫人が男装するという場面は柚希さんと真風さんのことを考えても、やはり見どころだと思います。真風さんは退団されてからまだ間もないですが、柚希さんは久しぶりの男装ですよね。これはインパクトが大きいなぁと思っています。

 また、それを隠さずにこうやって事前にお伝えできるということは、それだけ魅力的なことですし、皆さんが気になるポイントなんだろうなと思います(笑)。

2023.11.08(水)
文=前田美保
写真=深野未季
ヘアメイク=佐鳥麻子
スタイリスト=小林伸崇