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 もうすぐ初日を迎える『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』で主演のアルセーヌ・ルパン役を演じる古川雄大さんを直撃インタビュー! 『ロミオとジュリエット』や『モーツァルト!』『エリザベート』など、数々の舞台で主役を演じてこられた古川さんですが、実は帝国劇場での単独主演はこの作品が初めてとのこと。

 後篇では古川さんを取り巻く共演者の方々について質問。宝塚歌劇団出身の柚希礼音さんや真風涼帆さん、真彩希帆さんといった元男役トップスター、元トップ娘役俳優さんたちの印象や、古川さんが師と仰ぐ作・演出の小池修一郎先生についてもお話を伺いました。古川さんが稽古の間に過ごすリラックスタイムなど、プライベートにまつわるトークにも注目を。

古川雄大さんインタビュー【前篇】を読む


「どう美しく、現実離れさせて見せるか」

――今回は共演者も豪華です。宝塚歌劇団で男役レジェンドと言われた柚希礼音さん、真風涼帆さん、そして元雪組トップ娘役の真彩希帆さんがいらっしゃいます。まず、柚希さんの印象からお聞かせいただけますか?

 僕が初めて柚希さんの舞台を拝見したのは宝塚歌劇団時代の『ロミオ&ジュリエット』でした。だから、ずいぶん前ですね。すごい方だなと思っていたのですが、そのロミジュリの中でとても印象的なシーンがひとつあって、それを自分のロミオにも反映させていただいたりしました。

 お稽古場でお会いすると、舞台のままの印象ですね。強くて芯のある女性という感じです。でも一方で柔らかい雰囲気もお持ちで、お話すると楽しい方なんです。

――真風涼帆さんについてはいかがでしょう?

 真風涼帆さんは宝塚ではキリッとした男役さんで、雰囲気も強い。何というか、すべてにおいて真風さんは“完璧”だったんです。お顔立ちも優しいというよりはクールな印象ですよね。

 だから、もしかしたら怖い方なのでは? と思っていたのですが(笑)、お会いしたら僕が持っていた印象と完全に真逆の方!! 柔らかくておしとやかで……。そのギャップにすごく驚きました。あの宝塚での姿はすべて演技力によるものだったんだと分かり、改めて尊敬しました。

――真彩希帆さんについてもお聞かせください。

 真彩希帆さんは作品を拝見したことはないのですが、本当にいろんな作品に出演されているという印象です。舞台を観られていないので、「どんな方なんだろう」というワクワク感を持ってお会いしたのですが、実際にお会いすると驚くほどパワフルでエネルギッシュな方で!

 何だろう……。彼女からは“生きる”という活力を感じるんです。何かを吸収しようする方法や取り組み方がとてもプロフェッショナルですね。しかもお話も上手で皆さんとのコミュニケーションもすごく上手い。これからもっとお稽古が進むのが楽しみです。

――ご自身が『ロミオ&ジュリエット』に出演されたときに、柚希礼音さんのロミオを反映したシーンがある、とのことですが、たくさん共演されている宝塚の元男役さんたちから学ぶことなどはありますか?

 宝塚歌劇というのは、僕の中で少女漫画の世界がそのまま舞台になっているという印象なんです。華やかで、夢を見ているような気持ちを観客に与えてくれる舞台です。

 そして、僕自身もそういうイメージの作品に出ることが多いんです。例えば『エリザベート』のトートや、『黒執事』も官能的な描写はありつつ、どう美しく見せるか、どう現実離れさせて見せるかというのに特化している作品なので、そういった意味ではすごく勉強になると思いますね。

2023.11.08(水)
文=前田美保
写真=深野未季
ヘアメイク=佐鳥麻子
スタイリスト=小林伸崇