ラビリンの思い出
――楽しそうな収録現場ですね。映画の中では、4チームにわかれるのですよね。
加隈 はい。今回は、『ひろプリ』のメンバーが、それぞれチームに分かれて戦います。私のチームはキュアプリズム率いる「プリズムチーム」ですが、映画のなかでいろいろなことに巻き込まれるので、ひと言で表現するなら「大変チーム」ですね(笑)。
「プリズムチーム」のメンバーは、『デリシャスパーティ♡プリキュア』のキュアフィナーレ/菓彩あまね、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』のキュアラメール/ローラ、『ヒーリングっど♥プリキュア』のキュアグレース/花寺のどかとラビリン、そして新しく出会ったプーカというキャラクターです。キュアラメール/ローラちゃんが場を引っかき回すのを、キュアフィナーレ/菓彩あまねさんがそれをちょっとお姉さん目線で見守り、キュアグレース/花寺のどかが包み込む……、という顔ぶれになっています。
ローラちゃんって、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』のなかでは、キュアサマーの夏海まなつちゃんにガンガン意見しちゃうキャラクターなんですけど、そのままだと「プリズムチーム」のなかではちょっとクセが強くなりすぎちゃうんですよ。だから、私が演じるキュアプリズムの虹ヶ丘ましろが、テレビシリーズにはないコミカルなテンポで受けとめ、ローラちゃんの強さをマイルドにしています。
知らない土地で初めましての人に囲まれると、こういうましろになるんだな、と私自身も新鮮な発見があり、おもしろかったです。
――ラビリンは、以前加隈さんが演じたキャラクターですね。今回は、キュアプリズムとラビリンの2役を担当されたのですか?
加隈 はい。今回は、ラビリンとましろの2役で出させてもらいました。それも私にとってはすごいプレッシャーで。
「2役なんてできるかな……」とか、「ラビリンの声の出し方を忘れていたらどうしよう」と不安に思っていた部分もあったんですけど、収録でラビリンの相棒だったキュアグレースの花寺のどか役の悠木碧ちゃんに会った瞬間、まったく自然に「のどか〜!」と、ラビリンに戻ってのどかちゃんの名前を呼べたのは、自分でも驚きました。
――新しいチームメンバーと時間を過ごしたことで、『ひろプリ』メンバーとの関係性に変化はありましたか?
加隈 離れていたからこそ会いたい気持ちがお互いに重なったと思います。だから映画のなかで『ひろプリ』のメンバーと再会した時は、このうえない感動と安心感が湧いてきました。
今回の映画は、最初にソラちゃんの「スカイチーム」からの収録だったんですけど、関根明良ちゃんが20周年記念作品ということにかなりのプレッシャーを感じ、だいぶ緊張していたみたいなんです。後から私が収録に合流したときに明良ちゃんの緊張が解けたようで、プロデューサー陣の「いつものソラ・ハレワタールになった」という言葉を聞いて、ソラ・ましろと同じように、明良ちゃんにとって、私が安心できる存在になれているんだなとうれしく感じた反面、もっと最初から一緒にいて支えてあげたかったと反省しました。
2023.09.16(土)
文=相澤洋美
撮影=杉山秀樹