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エミューのかわいいところ

──家畜としての働きぶりは期待通りでしたか?

B子さん 正直なところ、思ったほど草は食べてくれませんし、いまのところ役に立っているとは言えません。でもまだ小さいですし、遊びながらコンポストなどにくちばしを突っ込んでかき回しているので、かわいいからいいか、と許しています(笑)。

──エミューのどんなところがかわいいですか?

B子さん 私が歩けばずっと後ろからついてくるし、呼び鳴きするし、人間の感情を呼び起こすかのような行動がたまらなく愛しいです。それに長い首と細い足、見た目や歩き方もかっこよくて魅力的です。鳥にここまでのめり込むとは思っていなかったので、自分がいちばん驚いています。少しでも草取りが楽になればいいかなと家畜のつもりで迎え入れたエミューに対して、ここまで愛しいという気持ちになるとは思っていませんでした。

 ブリーダーさんに個体差があるとは聞いていましたが、うちに来てくれた子は特別人慣れしていてかわいくて、こんなにも愛おしいと思える存在に出会えて幸せです。

──犬との暮らしから、犬とエミューとの暮らしになって、いかがですか。

B子さん 犬飼いの楽しいところでもあるのですが、犬はしつけと毎日2回の散歩が欠かせません。室内飼いの場合は家の中を荒らされることも日常茶飯事ですし、かなりの覚悟がないと飼えません。

 それに比べると、エミューは気楽に飼えるし、もし雌だったら卵も楽しめるので、本当におすすめです。放牧できる土地がある方は、ペットとしてエミューを飼うことを検討してみるといいかもしれません。

──これからエミューとどんな暮らしをしていきたいですか。

B子さん まだ一緒に暮らして2カ月くらいですが、背が伸びたり、羽の色が変わったり、鳥の成長ぶりを眺めながら、一緒に年を重ねていくのが楽しみです。30年後、ふたりでおばあちゃんになって、ヨボヨボしながら畑仕事ができたらいいな、と思っています。

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2023.08.12(土)
文=相澤洋美
撮影=細田忠