仕掛け人はシェフの妻でイタリア出身のクリスティーナさん
僕のお気に入りは、養殖ニジマスの信州ブランド「アルプスサーモン」の一品。さくらんぼの枝を使って少しスモークすることで、素材の旨みが引き立つ。アウトドアの食事にもぴったりだ。メニューはおおむね決まっているが、一部は季節に応じて変更があるそうだ。
料理は、高級ホテルのレストランでの修行経験もある、シェフの坂元暁彦さんが手がける。一品一品に使われている食材の物語を説明しながら提供してくれた。
ドリンクのおすすめは、マリアージュセット。松川の醸造所で造られたシードルとワイン計3種類が料理に合わせて楽しめる。
虫の音だけが響く静かで真っ暗な畑の中、ぼんやりと光るランタンの下で過ごしていると、時間の感覚がしだいあいまいになり、不思議な気分。非日常とはこのことか、日頃の疲れが飛んでいくようだった。
ところで、このレストランはどのような経緯で始まったのだろう。実は、坂元シェフの妻である、イタリア出身のクリスティーナさんが仕掛け人だという。夫婦はともに「南信州まつかわ観光まちづくりセンター」の職員として企画を進めてきた。
クリスティーナさんはこう説明する。
「この町に初めて来たときに、右を見ても左を見ても果樹園で……そんな景色に魅了されました。背景にはアルプスが見えて、カラフルな果物もあってとてもきれい。その環境の中でのんびりと食事できたらいいなと考えたんです」
インスピレーションとなったのは、故郷イタリアの風景だったという。
「海外ではよく果樹園で結婚の披露宴を行いますよね。また、イタリアでは生産者と一緒に農園を歩いたり畑で食事したりするワイナリーツアーがあります。そういうところからのアイディアがありました」
クリスティーナさんはレストランだけではなく、農園でのピクニック、食事と町内のグランピング施設とのセットプランなどさまざまな企画を進行中。自身が惚れた松川町の魅力を伝えるべく奮闘している。
次の旅の候補へ入れてみてはいかがだろうか。
Orchardレストランまつかわ
営業期間 4月~11月の土曜・日曜・祝日
実施時間 ランチ11:00~13:00、ディナー日没30分前スタート
場所 長野県下伊那郡松川町内の農園 ※日程・季節によって異なる
料金 1人12,000円(税込) ※果樹園ガイドウォーク、乾杯のドリンク、フルコース料理、お土産を含む
予約・問い合わせ まつかわ旅の案内所
電話番号 0265-36-6320
https://dansuki.jp/experience/experience7752/
2023.07.01(土)
文・撮影=一ノ瀬伸