りんごやさくらんぼ、もも、ぶどうなどの産地で「くだものの里」と呼ばれる長野・松川町。日本アルプスの山々に囲まれた風光明媚の町にはあちらこちらに果樹園が軒を連ねる。そんなくだもの畑の中に週末限定のレストランがオープン。季節ごとに景色が美しい農園で、地の食材を使った本格フレンチを味わおう。

 ドライブなら東京から3時間ほど、名古屋から2時間ほど、中央アルプスと南アルプスの谷間に位置する長野県下伊那郡松川町。

 中央自動車道の松川インターチェンジを降りると、あたり一面にくだもの畑が広がっている。松川ではおよそ100年前から果樹栽培が続いていて、現在600軒を超える農園があるという。

「Orchard(オーチャード)レストランまつかわ」はそんな松川町ならではのレストラン。春は白い花が咲くりんご畑で、初夏は完熟のさくらんぼ畑で……というように4月~11月の週末限定で、その季節にふさわしい“旬”の果樹園を舞台に開店している。

 レストランは昼と夜の営業。ともに10日前までの予約制で、1回5組限定。梨と桃の季節が始まる7月は、6000坪の広大な果樹園「フルーツガーデン北沢」をはじめ、ペット同行も可能な「りんごの丘農園」、「香山農園」などの施設で開店される。

 僕は、さくらんぼが食べごろを迎える6月半ばの土曜日にディナーへ訪れた。

 この日の集合時間は午後6時30分、日没の約30分前に設定しているそうだ。場所は、家族で果樹園を営む「くまちゃん農園」のさくらんぼハウスだった。

 到着するとまず、農園の熊谷拓也さんによる20分ほどのガイドウォークがスタート。ハウス内でさくらんぼの種類や特徴といった説明を聞きながら、もぎたての実の食べ比べ。お土産にもいただいて至れり尽くせりだ。

 その後、夕暮れの畑にて地元産のシードルやりんごジュースで乾杯。いよいよディナーの始まりだ。電飾が灯るさくらんぼの木の下にテーブルが特設され、幻想的な雰囲気の中でフルコースをいただく。料理に使われる食材はもちろん地ものだ。

2023.07.01(土)
文・撮影=一ノ瀬伸