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嵐やSMAPが韓国人作家に人気

――natsuyoさんから見て、韓国雑貨に共通する部分は何だと思いますか?

natsuyo 作品に共通している部分は特にありません。ただ、私のお店で取り扱っている作家さんのほとんどが90年代から2000年代日本カルチャーに詳しい方が多いです。例えば「DOWNTOWN MIX JUICE(ダウンタウンミックスジュース)」さんは日本にも住んでいた作家さんですが、サンリオやファンシーグッズにも詳しく、昭和生まれの日本人の私から見ると懐かしくて馴染みのあるデザインだと感じます。

――なぜ80年代の日本文化からインスパイアされるんでしょうか?

natsuyo 昔の韓国は日本のテレビ番組や映画、歌などの流入を厳しく制限していた時代があって、1998年から解放されたんです。もしかするとその時に入ってきた新しい文化のイメージが、彼らの目に新鮮に映り、刺激を与えたのかもしれません。

 作家さんたちが日本文化に興味を持つきっかけは、嵐やSMAPなどのジャニーズだったとよく聞きます。ジャニーズ以外でも、w-inds.(ウィンズ)やSPEED(スピード)なども、歌えるほど聞いていたようです。特に木村拓哉さん主演のドラマ「ロングバケーション」は主題歌も含め、作家さんの中でも懐かしい思い出として記憶されているようです。

――日本人作家と韓国人作家の違いはありますか?

natsuyo 大きな違いはないですが、小ロットでも制作しやすい環境が韓国には整っていると思います。日本より簡単に物が作れて、しかも納品が早い。トートバッグなどは、注文すると約3日で手元に届くこともあります。また以前に比べて、韓国国内にも作家さんの作品を取り扱うお店が増えてきたり、作家さん個人がネットで販売することも多くなり、作家活動を行なっている方が増えてきている印象を受けます。

 これは私の想像ではあるのですが、アルバイト時給が上がってきているのも背景の一つかもしれません。2017年の韓国の最低賃金は6,470ウォン(約600円)で生活するのでいっぱいいっぱいだったと思いますが、2023年には9,620ウォン(約1000円)に。アルバイトをしながら作家活動に挑戦する人も増えてきて、アートシーンの盛り上がりを肌で感じています。

2023.06.17(土)
文=ゆきどっぐ