この記事の連載

 コロナ禍が落ち着き、海外渡航が増えてきました。3月に発売された『“運命の出会い”を探しに! とっておき韓国雑貨ガイド』(以下『とっておき韓国雑貨ガイド』、KADOKAWA)は、韓国で話題の雑貨屋を約100店舗紹介しています。

 韓国好きの間で、「雑貨屋巡りに役立てたい」と話題の同書。監修したnatsuyoさんは、韓国人作家の作品を販売する高円寺「雑貨屋PKP」の店主です。natsuyoさんに韓国雑貨の歴史と魅力について伺いました。

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海外の文化からインスパイアされた韓国雑貨たち

――日本のメディアで取り上げられる韓国雑貨は、淡い色味のインテリアや、ゆるかわいい動物キャラクターのイメージがあります。書籍を拝見するとカラフルで驚きました。韓国雑貨って、いろいろあるんですね。

natsuyo 本の冒頭にも書きましたが、私は「こうでなければ韓国雑貨じゃない」という定義を持っていません。韓国でデザインされたあらゆる物を韓国雑貨だと思っています。

 いわゆる「韓国雑貨」と言われて日本人が思い浮かべるのは、韓国のインスタグラマーの部屋や韓国のカフェで見かけるベージュやシンプルなデザインの単色の雑貨だと思います。しかしそういう雑貨は韓国雑貨ではなく、ヨーロッパの雑貨ブランドを使用していることがほとんどです。「韓国雑貨は淡い色でシンプル」と思っている方も多いようですが、実際はカラフルな物も多いし、いろいろな国のデザインや文化を取り入れながら独自に発展しているのが韓国雑貨だと思います。

――日本では今、K-POPが人気ですが、雑貨とも関係することはありますか?

natsuyo 友人がK-POPの音楽プロデューサーに「K-POPとは?」と質問した際、「K-POPはビビンバのようだ」と言われたそうです。ご飯やもやし等の基本的な具材は何を入れても自由で、例えばそこにタコを足せばタコビビンバになる。美味しくなるなら韓国味噌ではなく、日本の味噌を入れてアレンジしてもよい。ヨーロッパやアメリカの音楽を参考にしながら、いろいろな要素を取り入れてごちゃ混ぜにした結果がK-POPという話でした。

 その話は韓国雑貨にも通じると思います。いろいろな国の要素を柔軟に取り入れながら、そこに作家さんの個性が加わることでオリジナリティのある作品になっていくのではないでしょうか。

2023.06.17(土)
文=ゆきどっぐ