暮らしをアップデートする 韓国の器の選び方 注目の現代作家4選

伝統ある韓国の器の世界で輝く、コンセプトが明確な現代作家もの

　カジュアルな韓国ごはんはもちろん、話題のファインダイニングやトラディショナルな料理に彩りを添え、さらに引き立ててくれる韓国の器。

　陶器、真鍮などさまざまな素材があるが、韓国ならではと言えるのが伝統的かつ洗練されたフォルムの高麗青磁、朝鮮白磁など。これらは中国から伝わった技術をベースに韓国で独自の発展を遂げ、現代に受け継がれている。

　韓国と日本を往来しながら、両国の工芸作品の展示会を企画し、食卓での心地よいライフスタイルを提案している陶器キュレータのイ・ナギョンさんに、直接触れて、手に入れたい作家ものに伺った。いま、注目すべき器とは？

「私が注目しているのは30歳前後の若手の作家。有名な作り手の作品はもちろん素晴らしいのですが、“こういう器を作りたい”という強い意思が感じられる作家に惹かれます。

　たとえば、骨董品に新しい白磁を組み合わせてみたり、韓国では珍しく、釉薬の研究を極めて作陶に励んだり。ソウルの安国や景福宮の近くに『西村』というエリアがあり、工芸品や骨董を扱うギャラリーがたくさんあるので、ゆっくり歩いて好みの作品に出合ってくださいね」（イ・ナギョンさん）

◆Taxoo Lee（イ・テクス／이택수）

Taxoo Lee の湯呑み、茶葉入れ

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　韓国語で再生を意味する환생（ファンセン）を実践する白磁作家のイ・テクスさん。中国や韓国の骨董品で欠けたり割れたりしてしまったものに、白磁の作品を組み合わせることで、新しい命を吹き込んでいる。お酒を飲むのにもよいし、オリーブやピクルスを入れても。飴やチョコレートなども映える。

「古くから存在するものを、自らのアイデアで生まれ変わらせているところが魅力的」（イ・ナギョンさん）

◆Doyedang陶藝堂（トイェダン／도예당）

Doyedang陶藝堂の粉引茶碗、粉引カップ

　韓国で釉薬の器といえば、イ・ギウォンさんとチョン・スンウンさんのユニットで活動している陶藝堂（トイェダン）。茶碗、湯呑みなど昔ながらの陶磁器の形を大切にしながら、新しい釉薬によって、毎年新鮮な表情の器を生み出している。

「日常で使っているものと違和感なく組み合わせやすく、スタイリングもしやすい器。茶碗はご飯はもちろん、プリンやお餅、揚げ出し豆腐などを盛り付けると素敵です」（イ・ナギョンさん）

2023.05.16(火)
Photograhs＝Kiyoko Eto
Coordination＝Hanae Koike

CREA 2023年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。