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『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』はやさしい映画

――撮影の中で印象に残っていることはありますか?

 ぬいサーの部室で、それぞれがぬいぐるみに話しているシーンがあるんですけど、あのシーンはもの凄い回数撮り直しになりました(笑)。

 ぬいぐるみに話すタイミングとカメラワークがもう絶妙な調整でないと成立しなくて。OKが出た時には思わずみんなで「やったー!」って。あのシーンは一体感ありましたね。

――なんだか本当のサークルみたい。

 すごく雰囲気が良かったんですよ。ワイワイしていました(笑)。映画と一緒で現場もやさしい空気に包まれていましたね。また戻りたいです!

――作品からもその空気が伝わってきました(笑)。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は登場人物の一人ひとりがやさしいが故に苦しい思いをしたり、観ていて切ない思いを感じてしまう部分がありました。

 作品のすべての時間が愛おしく感じる映画ですよね。私自身が最初台本を読んで、麦戸ちゃんに共感したように、傷つくことが悪いとか、自分が弱いとか考えちゃう人に是非見て欲しいです。

 弱いって悪いことでもないですし、シンドイ時はシンドイって言っていいし、辛くて落ち込んじゃう時は落ち込んでいい。そのままでいいんだよ、って伝えている映画だと感じてくれると良いなって思います。

 麦戸ちゃんが最後に「話そうよ」って落ち込んでいる七森に声をかけるシーンがあるのですが、本当にそうだなって。誰にも話せなかったらぬいぐるみでもいいし、話せる人がいるならその誰かに。話すことそのものが大きな一歩なんですよね。

2023.04.13(木)
文=CREA編集部
写真=平松市聖
ヘアメイク=里吉かなで
スタイリスト=尹 美希