しっかりと落ち込める麦戸ちゃんが愛おしい
――麦戸はその繊細さゆえに、なかなかいわゆる「世間」とはうまく折り合いをつけづらいタイプではあると思うのですが、駒井さんもそういう部分があるんですね。
実は、最初に作品と出会ったときはそう思っていたのですが、完成した映画を観た時に「あ、私、麦戸ちゃんから離れてしまった」とも思ったんです。その時には白城(新谷ゆづみ)のほうに感情移入するようになっていました。
――白城はある意味で、世間とぬいサーとの懸け橋になる存在で、自身もぬいサーに所属しながら学園祭の実行委員にも所属するというある種、社会に適応した子です。
なんだろう、今でも麦戸ちゃんのことは凄くわかるし、愛おしいんですが、しっかりと落ち込むことの出来る麦戸ちゃんにはもうなれないのかな、とも感じていて。
去年は本当にいろいろなお仕事をさせていただいて、たくさんいい経験も積んだけど、その分たくさん失敗もあって。笑っちゃだめなんですけど、セリフ飛ばしちゃってもう頭真っ白、みたいなことも(笑)。
そういう積み重ねの中で、失敗したとしてもそれはそれ、私自身を否定する必要なんてないんだ、って思うようになって。少し強くなったというか、白城のように外の世界を意識するようになったのかもしれないですね。
2023.04.13(木)
文=CREA編集部
写真=平松市聖
ヘアメイク=里吉かなで
スタイリスト=尹 美希