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まだ寒い季節は、ぽてっと仕上げた氷蜜の味わいどき

 寒い季節は蜜も全体的に「少しぽてっと」仕上げると言い、代表的な人気メニューが「パンプキンクリームきゃらめる」。ミルクとキャラメルの蜜をかけたかき氷に、とろりとしたパンプキンの蜜とキャラメルの蜜をかけたひと品となっています。

 蒸したカボチャにコンデンスミルクと生クリームを加えたパンプキンの蜜が、自然な甘さと温もりを感じさせ、カボチャのポタージュをいただくかのようなほっこりした気持ちに。やさしい苦さのキャラメルと、仕上げにぱらりとかけられた塩が心地よいアクセントとなり、味に深みが生まれます。

 「真夏にクーラーが効いた部屋から外を眺めるとか、冬に暖かい部屋でこたつに入りながらアイスを食べるとか、季節と逆のことをするのって贅沢な気持ちになると思うんです。そういう贅沢も、いらしてくださるお客様に楽しんでいただきたいと思っています」と話す、大坂さん。それゆえ、寒い季節は店内をぽかぽかと温かくし、それでも足りない人のために、入り口には使い捨てカイロも用意。

「冬の関東は乾燥していて喉が乾くので、すっと体にしみ渡るかき氷がおいしく感じられると思います」

アツアツのグラタンメニューも今こそ食べたい!

 さらに温もりを求めたい人には、夏を除いて常時2~3種類提供されているグラタンがおすすめです。定番の「ラザニア風グラタン」は、無水調理でトマトとタマネギとひき肉の自家製ミートソースがおいしさの鍵。かき氷の前後(もしくは合間)に食べるのにちょうどいいサイズで、ファルファッレ(リボン形のパスタ)やシメジ、トマト、千駄木「腰塚」の自家製ベリーハムなどさまざまな味わいが楽しめて、うれしくなります。

「しょっぱくて、食べると体が温まるものを用意したいと考えて、グラタンを作りました。チーズで表面が覆われているので、冷めにくいところも喜ばれています」

 そして、風の冷たさを感じながらも桜の開花を待つこの季節には、小豆入りの「桜もち」をはじめ、桜の葉で風味付けした練乳を使ったさまざまなかき氷も登場。「冬から春にかけてはいちごはもちろん、柑橘もおいしいですね。3月になれば、露地ものの柑橘も出てきます。かき氷を通じて、四季の移り変わりを楽しんでいただけたらうれしいです」と、大坂さん。

 このおいしさと楽しさを知らずに、ただ夏を待つだけなんて、もったいない!

ひみつ堂

所在地 東京都台東区区谷中3-11-18
電話番号 03-3824-4132
営業時間 10:00頃~18:00頃(曜日により10:00頃~19:00。閉店が早まることもあり)
定休日 月・火曜(7~10月は月曜日のみ。8月は月曜日も営業。急な変更もあるので、公式ツイッター@himitsuno132で確認)
http://himitsudo.com/

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2023.03.04(土)
文=瀬戸理恵子
撮影=鈴木七絵