共演者のユン・ジェムンさんも飛び入り参加!
ここから、『福岡』の共演者、ユン・ジェムンさんが参加。ジェムンさんは急に参加してくれることになったので、ヘヒョさんが色々フォローするのが、これまた人柄が感じられる。
――ではお二人にお聞きします。福岡という街の魅力はなんだと思いますか?
ユン・ジェムン 私はこの映画の撮影で初めて福岡を訪れたので、まだ今回で二度目の訪問なんです。福岡はすごくオープンな都市だな、という印象を持ちました。そして可愛らしい、素敵な街でもあり、食べ物がすごく美味しい。
私にとっては新しい場所であり、撮影中は感動することだらけでしたね。
クォン・ヘヒョ 私は日本のいろんな場所を訪問してきましたが、大都市は似ているところが多い。でも福岡は独特です。福岡には女性的なものを感じるんです。
例えば他の大都市でいうと、名古屋はとても男性的な感じがしたんですよ。それに対して、福岡は女性的に感じたんです。
――福岡が女性的に感じるというのは、どんなところでしょう?
クォン・ヘヒョ さっきもユン・ジェムンさんと天神あたりを歩きましたが、まず素敵な女性が多いですよね(笑)。
福岡は、空間が綺麗にまとまっているというか、コンパクトに整理整頓されていて、美しいですね。その空間が私にとってはとても居心地が良いんです。福岡はなんというか水のような、水が流れるようなというか、そんな気持ち良さがあります。
――ところで、CREA本誌では春に韓国特集をする予定なのですが、ぜひおすすめの美味しいお店を教えてもらえますか? ソウルでも釜山でも構いません。
クォン・ヘヒョ では、私が30年通っている釜山のお店をご紹介しましょう。海雲台の青沙浦(チョンサポ)にあるスミニネ(수민이네)という海鮮焼きのお店です。港のすぐそば。ここは何を食べても本当に美味しいですが、特にアナゴがおすすめです。
ユン・ジェムン 私はソウルの恵化洞(へファドン)にある、リムズ・チキン(Lims Chicken)をおすすめします。今、韓国ではチキンがトレンドですが、ここは昔からあるフライドチキン屋さんなんです。
チキンはもちろん、キムチ・チョルミョンが美味しいんです。チョルミョンというのは春雨のようなお芋の粉で出来た麺なんですが、ぜひチキンとキムチ・チョルミョンを一緒に食べてください。
――ああ、どちらも美味しそうで、食べたくて仕方がないです。では最後に、日本の観客に向けて一言ずつお願いします。
クォン・ヘヒョ 日本の観客の皆さんがこの映画をどのように観てくれるのか、それが私にとっては興味深いです。この映画は、天神をはじめ、福岡の街のいろいろな場所が出てきますが、福岡の街全体を映しているわけではないんですよね。
なので、福岡の人から見れば、わかるところはわかるでしょうが、この『福岡』という映画の中に、韓国、日本、中国、そこにまつわる人たち、そして現在、過去という、時間が空間の中に流れています。いわば、開かれた空間ですね。その空気感というものをお客様が楽しんでいただけたらいいな、と思います。
そして、この作品によって、スクリーンで観る映画というものを少しでも楽しんでいただけることが私の願いです。
ユン・ジェムン 私は一人でもたくさんの人が、この『福岡』を観て下さることを願うばかりです。
クォン・ヘヒョ
1965年、ソウル生まれ。漢陽大学で演劇を学び、1990年からプロの俳優として活動。日本では2003~2004年にNHKで放送されたドラマ「冬のソナタ」のキム次長役で人気に。近年の出演作に映画『オマージュ』(3月日本公開)、『あなたの顔の前に』『新感染半島 ファイナル・ステージ』『それから』、ドラマ「気象庁の人々」「誰も知らない」「D.P. -脱走兵追跡官-」「アンダーカバー」「王になった男」など多数。また人権活動家としても知られ、東日本大震災をきっかけに日本の朝鮮学校を支援する団体モンダンヨンピル(ちびた鉛筆)を立ち上げ、共同代表を務める。
ユン・ジェムン
1970年生まれ。ソウル芸術大学出身。1999年に舞台デビュー。主な出演作に映画『群山』『パパとムスメの7日間』、『オクジャ』『母なる証明』ドラマ「財閥家の末息子」「トッケビ」「アイリス」ほか多数。
映画『福岡』(2019年/86分)
監督・脚本:チャン・リュル
出演:クォン・ヘヒョ、ユン・ジェムン、パク・ソダム、山本由貴ほか
ソウルの古本屋の主人ジェムン(ユン・ジェムン)は、常連であるソダム(パク・ソダム)に誘われ、福岡を訪れる。そこでは、学生時代に一人の女性を巡って仲たがいしたままの旧友ヘヒョ(クォン・ヘヒョ)が居酒屋を営んでいた。二人の中年男と一人の少女が、福岡の街を歩き、語り合ううち、不思議な世界へと誘われていく。『群山』、『柳川』と続く、中国の朝鮮族出身であるチャン・リュル監督の福岡3部作の2作目。ベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映された。全国順次公開。
https://movie.foggycinema.com/fukuoka/
石津文子の釜山追っかけ日記2022
2023.02.25(土)
文=石津文子
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