河合優実にとっての「おとなになる」ということ
そんな河合さんは現在22歳。
思えば、22歳というのは何だか微妙なお年頃なのかもしれない。成人していて「おとな」枠ではあるのだが、30~40代から見るとまだまだ幼く「子供」にも映る。それでいて、10代とは明らかに違うのだから。
河合さんも10代から20代へと移ろう中で、おとなになり変わっていったことが明確にあると話した。
「この数年、常に変わっていっているように感じます。(デビューした)19から、20、21、22…今年23になりますが、その間だけでも人との距離感が変わりました。自分も周りの人を見ていても変わっていくなと思うし、成長する自分がいたりもするなと。
例えば、家族との向き合い方で言えば、子供のときは“親は絶対に正しい”と無意識に思っていたんです。強い存在だと見ていたけれど、自分がおとなになると“ああ、親も人間なんだなあ”と思う瞬間もだんだん出てきました。私に頼ってくれたり、弱い部分も見せてくれたりすることも変化だと思っています。だからこそ、今すごく親孝行したいなと思うんです」。
静かに、家族への愛情をにじませながら話してくれた河合さん。「だから“みますや”さんに両親を連れてきたいなと思ったのかも。今までそういうことはなかったので、こういう思いもひとつ、おとなになるということかなと思います」。
俳優業に関しても、4年の間でだいぶ意識が変わっていった。1~3年目については、「始めたときは本当に楽しくて。ずっとバイトをして四畳半に住む生活でもいいから、この楽しいことをずっと続けていければそれでいい、と思っていたんです」と振り返る。4年目の今は、もう一歩、いや、もっと先まで見られるようになった。
「がむしゃらに目の前のことだけをやる、自分が誰かの船に乗るだけ、みたいなところから、ちゃんと自分が届ける側にいるんだぞという自覚を持つようになりました。そうしていいんだなとも、思えるようになりました。自分が誰かを演じる責任を考えるようになった点は、変わりましたね。演技や表現が好きというのは前提にあるんですけど、何よりも人について考えることが好きなのかな、と自分で感じています」。
現在公開中の初主演映画『少女は卒業しない』のほか、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』では連続ドラマ初主演も務める。真ん中に立つことで、見える景色や心に浮かぶ感情も変化し、より濃くなっていったのかもしれない。
2023.02.22(水)
Text=Kyoko Akayama
Photographs=Miki Fukano
Hair & make-up=Aya Murakami
Styling=Tatsuya Yoshida