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22歳、初めてのバーでカクテルの扉を開く

 2019年のデビュー以来、話題作に出演し続けている俳優・河合優実さん。

 2022年には第35回日刊スポーツ映画大賞・新人賞のほか、数々の映画新人賞も受賞し、新たなる映画スターの筆頭として駆け抜けている。

 そんな河合さんは現在22歳。キャリアも自身の生活も充実のときを迎えている彼女の最近の趣味といえば、「お酒を飲むこと」。

 お酒を飲む時間だからこそ見えてくる、河合さんの素顔やライフスタイルに迫りながら、CREAでは「良きおとなのためのお酒入門」と題し、東京の各所でおとなの美味しいお酒の飲み方を学んでいく。

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» はしご酒1軒目「びあマ神田」でクラフトビールを飲み比べ
» はしご酒2軒目 東京の名店「みますや」で語る「わたしのこと」

 クラフトビール専門店「びあマ神田」、東京最古の居酒屋「みますや」と巡り、最後に訪れたお店は、ぐっと都会でおとなムード満載の「ブルガリ ギンザ・バー」。

 ブランドの旗艦店であるブルガリ銀座タワーの10階に位置するこのバーは、ゆったりとした開放感がありながらも、高貴な雰囲気をたたえている。河合さんは「ひとりでこんなバーに来ること、ないですね。……というより、初めてです」と、ちょっぴり緊張感を漂わせた。が、カウンターに腰かけ、バーテンダーであり「ブルガリ ギンザ・バー」ビバレッジマネジャーの川久保安寛さんと2~3言、言葉を交わしているうちに、とても自然に空間に溶け込んでいった。

 1杯目に河合さんが飲んだグラスは、「ディス・イズ・ノット・ア・ジャパニーズ・ハイボール」。いわゆる一般的に知られるハイボールとは一線を画すもので、グラスはもちろん、氷にも非常にこだわっているという。傾斜がかかっているグラスに合うように、氷には毎日ダイヤモンドカットを施し、グラスに密着する形を作っている。だからこそ溶けにくく炭酸も抜けにくい、おいしい1杯が仕上がるというわけだ。

 そう川久保さんが説明すると、河合さんは「へえ!」、「そうなんですか、すごい~」と相槌を打ち、しっかりと味わうように飲んでいく。「知らないことを知るのが好きなので、このお店ならではのお話が聞けて、すごく楽しいです」と目を輝かせながら初めての味を堪能していた。

 まさに「おとなのお酒」的楽しみ方真っ最中の河合さんに、ここでは「理想のおとな像」について語ってもらうことに。

「理想は誠実な人、です。分け隔てなく向き合ってくれる大人の人に会うと、すごく“こういう人になりたいな”と思います」。

 なぜなら、大人になると何かが起こっても「しょうがない」と理由を見つけるのも上手くなり、諦めやすくなってしまう。だからこそ、誠実に向き合い、簡単に諦めようとしないおとなに強い憧れを抱くと、河合さんは理由を説明した。

「誠実な想いをずっとキープしていくのって、難しいと思うんです。ちょっとずつ諦めていかなければいけない波がある中で、ずっとまっすぐであり続けてくれる人にたまに会ったりすると“こんな大人がいるんだ”という感動がある。身近な人でも、自分から全然遠い人でも、いろいろな大人の方を見ていると、そう思うんです」。

 誰かが心に浮かんだのか、河合さんの表情はいつの間にかとてもやわらかくなっていた。

2023.02.22(水)
Text=Kyoko Akayama
Photographs=Miki Fukano
Hair & make-up=Aya Murakami
Styling=Tatsuya Yoshida