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ストレートプレイを目指した理由

――4ヵ月にわたるオーディションのなかでも「チーム愛」みたいなものが生まれたとお聞きしました。

 そうなんです。これは演出のさち子さんのおかげでもあると思いますが、オーディションが「勝負」ではなく「稽古」そのものだったんです。役を決めるために競い合うのではなく、「参加している全員で、このシーンを立ち上げよう」みたいな流れで行われたので、僕にとっては非常に実りあるエドの第一歩でした。

 だから僕は、エド役のオーディションに参加していた人全員が、今回の舞台のメンバーだと思っています。「あの時僕が素敵だと思った人はどんなまなざしでこのシーンを演じていたかな」「あの人のエドの声はどんなだったかな」と思い返しながら、エドを演じることもあります。

――舞台で『鋼の錬金術師』の世界観を表現するのは大変だと思います。そのご苦労についても教えてください。

 稽古場では早くも、ハガレンの世界をリアルで体現する難しさにぶちあたっています。いちばん大変なのは演出のさち子さんと舞台制作チームだと思いますが、今回の舞台では、身体パフォーマンス力の高い役者がそろっているので、そこはぜひ見ていただきたいなと思います。

 あと、今回の舞台は限りなく、ストレートプレイに近い形で表現しています。原作では戦争や人種差別の問題なども色濃く描かれているので、原作が大事にしている言葉やテーマが派手なパフォーマンスで消えてしまわないよう、しっかりと創り上げています。

 まだ鋭意稽古中ですが、きっと誰も見たことのない2.5次元の舞台ができあがると思いますので、ぜひ楽しみに見に来ていただけたらうれしいです。

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 ©荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

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舞台『鋼の錬金術師』
 

公式HP https://stage-hagaren.jp/
【OSAKA】2023年3月8日(水)~3月12日(日)   新歌舞伎座
【TOKYO】2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール

原作  荒川 弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
脚本・演出 石丸さち子

エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)
ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨 (Wキャスト)
リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル
傷の男(スカー) 役:星 智也
ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎

and more…

 

2023.02.16(木)
文=相澤洋美
撮影=釜谷洋史