この記事の連載

 気持ちのよい毒舌と、エロスを感じさせる笑いで人気の大久保佳代子さん。新刊『まるごとバナナが、食べきれない』では、40代から50代の悩みや迷いを飾らずに描き、妙齢女子から「わかる!」「あるある!」と大共感を呼んでいます。エッセイでも語られているアラフォーからアラカンの恋愛事情について、たっぷりとお聞きしました。(前篇を読む)


体力もなけりゃ、恋愛を進展させる気力もない

──『まるごとバナナが、食べきれない』は、雑誌『Marisol』での8年間の連載を一冊にまとめたエッセイ集です。あらためて8年分の連載を読み返した時に、ご自身で一番変わったと感じるのはどんな部分ですか?

 恋愛観ですかね。30歳くらいまでは、気づいたら男性を好きになっていることが多かったんですよ。そこから、「手を触りたい」「相手に触れたい」という欲が湧いていたんですけど、今はなんかそういう性欲が湧かなくなってきて、好きになる入り口がわからなくなってきたんですよね。

 会話のテンポがあって、見た目がそこまで嫌いじゃなくて、40~50歳くらい、という架空の相手と、「この人と焼鳥屋までなら行ける」という焼鳥屋妄想デートプランを脳内で立ててみるんですけど、つい現実的に「今月は10日と22日が空いてます」と仕事の調整みたいな誘い方しか浮かばず、そこで妄想が終わっています。

 しかも、若い頃は深夜に突然呼び出されても「わかった、行くよ」と平気で出かけていたんですけど、今は愛犬のパコ美ちゃんもいるし、仕事もある程度入っているので、そうそう夜出歩けないな~、とか考えちゃって。体力もなけりゃ、恋愛を進展させる気力もなかったら、そりゃなかなか恋愛をするのは難しいですよね、と思っちゃいます。

2022.12.09(金)
文=相澤洋美
撮影=山元茂樹