彼がいたから盛り上がった。スゴ腕の名脇役

・坂東彌十郎(北条時政役)

 出るたびに見惚れていた。ザ・風格……! りく役の宮沢りえをやさしく抱きかかえるシーンは、絵巻のよう。ドラマ「クロサギ」にも出演しているが、いるだけで場を格上げする、樹齢何百年の木のような人である。

・迫田孝也(源範頼役)

 登場人物で一番お友達になりたい人、それが範頼であった。最近、面白いドラマには必ず迫田孝也さんがいる。出るたびに「せめて現代では幸せであれ!」と思ってしまう。

・新納慎也(阿野全成役)

 実衣(宮澤エマ)との夫婦愛に泣いた。あんなフォーエバーラブな散り方ってある!? 「誰も恨んじゃいけないよ」。そんな全成のピュアさが忘れられない。新納さんは、2018年に三谷幸喜脚本のNHKスペシャルドラマ「風雲児たち」(2018年)で杉田玄白役だった。三谷幸喜に2度も愛すべきツルピカ頭役を任された彼。3度目もきっとある。楽しみだ。

・横田栄司(和田義盛役)

 出るたび好きになった癒しのヒゲ。特に2022年9月から10月頃は日本で一番好きな男性でした。巴がライバル……。なのにあんな死に方って(泣)。義時てめえ許さないからな!! 演じていた横田栄司さんも本当に素敵。ゆっくり復活を待っています。

 まだまだ書き足りないが、今はここまでにしとうございます……。ありがとう「鎌倉殿の13人」! 大河ドラマ、時代劇の楽しさをありありと思い出させてくれた。

 様々な野心や挫折、そしてタイミングが巡り巡って時代のうねりになっていく。旬の俳優たちがそれを演じる贅沢。歴史を通じて、名前も知らなかった名優たちを見つける興奮! もう一度過去の大河ドラマも見たくなったし、来年の「どうする家康」も楽しみになった。これからも、どんどんチョンマゲを!

 鎌倉殿は残りあと5回。負けるか義時! 私の最推し、源実朝(柿澤勇人)に悲劇が待ち受けているようだが、血なまぐさい絶望期のクライマックス、しっかりと茶の間で見届けようぞ。ハンカチを5枚ほど用意して!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●田中稲note https://note.com/ine_tanaka/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2022.11.20(日)
文=田中 稲