2022年後半のイタリアは、マスクやパンデミック報道はいつの間にかフェイドアウトし、すっかり日常回帰モード。入国時のPCR検査陰性証明提示なども免除され、旅行熱を溜め込んだ欧米の観光客が続々と押し寄せている。
あたかも14世紀のペスト後に、ルネサンス運動がやってきたかの如く再生し続けるフィレンツェ。街全体がヘリテージの古都の底力は未知数だ。
パンデミックを経て、華麗に衣替えした宿泊施設のオープンが続いた。世界屈指の芸術の都でしか味わえない極上ステイを満喫したい。
フィレンツェとトスカーナの極上ステイに、おすすめの宿を6回に渡りご紹介。
歴史とモダンが融合する進化系のフィレンツェ滞在
◆Hotel Calimala(ホテル・カリマーラ)

ホテル名のカリマーラとは、所在地の通りの名で、中世、ここに大工房を構えていた染色業などの組合「アルテ・ディ・カリマーラ」に由来するもの。
洗礼堂や大聖堂の建築に大貢献した偉大なる組織であった。
そんな歴史ある名を冠した当ホテルはサプライズがいっぱいの宿。

ヴェッキオ橋まで1分ほどのスペシャルな立地にあり、入口は小さくて見逃してしまいそうだが、最上階には息を呑むような360度パノラマが楽しめる、3層にもなった広大なテラスを隠し持つ。

オーナーはアートギャラリーも経営するイスラエル人アーティスト、カーメル・イラン氏。

なるほど館内には100点ものコンテンポラリーアート作品が点在し、客室は建築家アレックス・メイトリスによるカラフルなモダン・デコを組み合わせたユニークな折衷様式だ。

絶景のルーフトップ・レストランではイスラエル人シェフ、モフ・ナフタリィ氏が、フランスと日本での経験を生かした地中海料理でディナーを彩る。

古都の歴史とインターナショナルテイストが融合した館内はスタッフも充実していて、レセプションは24時間対応というホスピタリティも、オープン後瞬く間に人気スポットになった所以である。

Hotel Calimala(ホテル・カリマーラ)
所在地 Via Calimala 2, 50123 Firenze
電話番号 +39 055 0936360
客室数 38室
料金 1室 250ユーロ~
https://www.hotelcalimala.com/

Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2022.11.12(土)
文=大平美智子
撮影=仁木岳彦
CREA Traveller 2022 vol.4
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。