歳を重ねて変化する“感動”のポイント

――今市さんが感動するものは、歳を重ねるごとに変化していますか?

 めっちゃしています。若いときは、いわゆる男女の恋愛ものを観ていたりしているときに究極の悲劇というか……伝わるかわからないんですけど。

――まさに『ロミオ+ジュリエット』(バス・ラーマン)のような、愛と死のような?

 そう! そうなんです。あの形は究極じゃないですか。若いときは友情や家族の物語よりも、男女のそういう愛にすごく感動していたんです。それが年齢を重ねることによって、だいぶ変わってきました。友情も家族愛もぐっとくるし、キャパが広がっています。

 しかも最近、すぐ(涙腺に)くるようになって(笑)。頑張っている人を見るだけでも、なんかグッときちゃうんです。別に泣いたりはしないんですけど、心にきますね。歳を重ねて友達のありがたさ、家族の偉大さに気づいているからこそ、そこに感動するようになったんだなと感じます。

――アーティストとしてもステータスが変わるにつれ、感じ方が変わってきましたか?

 めちゃくちゃ変わりました。今ツアー(『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “RILY'S NIGHT” ~Rock With You~ 』)中なんですけど、ファンの皆さんの偉大さというものをめちゃくちゃ感じています。デビューして今年で12年が経っていて、その12年の間に、それぞれのファンの皆さんの人生があるわけで。その人生に「今市隆二」の存在を迎え入れて応援してくれているわけじゃないですか。本当にファミリーというか、絆でつながっているなと思うんです。ファンの皆さんもそういう感覚でいてくれたら嬉しいし、離れないところでつながっているなと感じるんですよね。

――だからこそ今回は距離感の近いホールツアーにしたんでしょうか。ホールならではのよさも感じていますか?

 本当に感じています。本来だったらアーティストは、たぶんライブハウスから始まり、ホール、アリーナ、ドームとなるものかもしれないけれど、三代目 J SOUL BROTHERSはありがたいことにロケットスタートで大きいところでやらせてもらっていて。それはそれで素晴らしい経験ですけど、なんて言うのかな……“人対人”みたいな感覚でパフォーマンスできるのは、距離が近いホールだからこそだと思っているんです。

 ホールだとサービス映像もないので、本当に生身のパフォーマンスを届けられますし、お客さんも感じてくれていると思うんです。直接会うこと、しゃべること、目を合わせること、触れること……何でもいいんですけど、そうしたことを今、自分自身がしみじみと感じています。感謝を伝えるツアーにしたかったので、こうしてしっかりコミュニケーションを取れていることがすごくうれしいですね。

2022.11.02(水)
文=赤山恭子
撮影=榎本麻美