広い視野を持つことで表現の幅が広がる

――名門ヒューストン・バレエ団の研修生として15歳で渡米し、その翌年には史上最年少でプロ契約を結んだわけですが、それを可能にしたご自身が思う自分の強みとは? 

 ……我の強さかもしれないです(笑)。そして他のバレエダンサーとの違いといえば、「順応性」かもしれません。

 子どもの頃から、いろいろな世界に興味があって、バレエ以外の世界の人とも接することが多くありました。お友達の輪も広くしていたいですし、視野を広く持っていたいです。たくさんのものを取り入れる姿勢でいたいと常々思っています。

 旅先で初めて出会った人とも仲良くなりたいですし、バレエの世界だけでなく外の世界の人とも繋がりたいです。さまざまな人や世界を見ることで自分の世界観や表現の幅も広がり、それを私の個性として表現できれば嬉しいです。

――こうしてお話しをしていると柔らかな印象ですが、我が強いとは、どんな瞬間に自分でそれを感じますか?

 バレエの練習中は特に感じます。思ったことは先生や共演者とその場で意見交換する方が効率的ですし、心も健康に保てます。後から言ってもあまり意味がないので、意見はその場で言うようにしていますが、もう少しお淑やかにしていた方がよかったかなと思う場面もあります(笑)。

――6歳から現在までバレエを続けられている中で、バレエに対する思いの変化はありますか?

 もともとバレエを始めたきっかけが、習い事というより姿勢矯正のためでした。初めて行った体験レッスンで、まわりの子達より上手にできなかったのがとても悔しかったのを覚えています。そこで「この子たちより上手になりたい!」と1日目で闘争心が湧いてしまいました。最初は楽しいとか、好きという気持ちより、負けたくない、1番になりたいという気持ちのほうが強かったと思います。

 本気でバレエを好きになったのはプロになってからです。いろいろな作品に触れることによってバレエの奥深さに気づきました。それまではテクニックや技術面ばかりフォーカスしていましたが、表現することや演技力など、“魅せる”ことに重きをおくようになりました。それからは心の底から楽しいと思えるようになりました。

表現力という武器を手に入れたターニングポイント

――思い出深い舞台は?

 スズキという付き人役を演じた、ヒューストン・バレエの『蝶々夫人』。初めて演技にのめり込んだ作品です。本当にいろいろと試行錯誤をして、自分ならではの表現方法を探りました。スズキを演じたことがきっかけで演技力を試される役が増え、演技の楽しさを知りました。

 また、最近演じた『ロミオとジュリエット』は自分史上一番納得ができた作品です。自分がやりたかったことを全て表現できました。ジュリエットが初めてロミオに会った時の高揚感だったり、恋人と一緒にいることができない悲しさ、親に反対される悲しさだったり……自分の経験やこれまで感じてきたものを投影し、役作りも本気で集中できたため、自分の中で一番心に残っています。そう思える作品にこれからもっともっと出会いたいですし、もっともっと向上していきたいです。

――飯島さんが思うバレエの魅力と、これから挑戦したいことを教えてください。

 バレエの魅力は見ている人を非現実の世界に連れて行くことができますし、踊っている側としては様々な役になれること。役を演じることを追求したときに、役への共感ポイントがどこかしらあるので、自分の経験も活かせると感じます。フィジカル的にも向上していきたいけれど、もう少し演技の部分で奥深い表現を追求していけたらと思います。

飯島望未さんの旅に寄り添う愛用アイテムは?

飯島望未(いいじま・のぞみ)

大阪府出身。6歳からバレエをはじめる。2008年に当時最年少となる16歳でヒューストン・バレエ団に入団。2019年には同団のプリンシパルに昇格。2021年に帰国し、K-BALLET COMPANYにて主演を務め、2022年3月からプリンシパルに。2022年12月14日~『くるみ割り人形』に出演予定。

熊川哲也 Kバレエ カンパニー Winter Tour 2022『くるみ割り人形』

飯島さんがマリー姫役で出演する、Daiwa House PRESENTS熊川哲也 Kバレエ カンパニー Winter Tour 2022『くるみ割り人形』が2022年12/14(水)~18(日)に公開。(飯島望未さん出演回は12/14(水)14:00、12/17(土)17:30)
会場 Bunkamuraオーチャードホール(渋谷)
https://www.k-ballet.co.jp

リモワ クライアントサービス

電話番号 072-994-5522
https://www.rimowa.com/

ジャケット 92,400円(リトルビッグ 03-6427-6875) ドレス 82,500円/ビューティフルピープル(ビューティフルピープル 青山店 03-6447-1869)、ボディスーツ 19,800円/(ミスターイット contact@misterit.jp)、ピアス 34,100円、ネックレス 38,500円、リング 28,600円/全てボーニー(エドストローム オフィス 03-6427-5901)、シューズ 126,500円/ピエール アルディ(ピエール アルディ 東京 03-6712-6809)

2022.11.01(火)
文=天野真由美
写真=河野翔大
スタイリング=渡邊薫
ヘア&メイク=RYUJI