「あんなことを女性に言われたらやっぱり嬉しい」

――原作ファンの馬場さんが好きなセリフは?

馬場 ユリが幼馴染のジンくんに「口説かれている時間があったら、あの人(桜夜)と少しでも長く一緒に居たい」というセリフ。あそこはかっこいいし、すごくユリっぽいと思いました。桜夜さんに聞かせてあげたかったですね。

古川 え、聞いてたよ? 

馬場 撮影現場では聞いていたと思うけど、実際は桜夜さんがいないシーンじゃないですか。

古川 確かに。でもめちゃくちゃ喜ぶと思うよ、彼は。僕自身も、あんなことを女性に言われたらやっぱり嬉しいですもん。「あなただけよ」みたいなことを言われたら、もう、それで十分だし、単純なタイプですから(笑)。

――お二人が、役から学びたいと思う恋愛テクニックは?

馬場 ユリは全身で好きを表現するけど、それはちょっと私にはできない。すごく素直で可愛いなと思いました。

古川 桜夜も同じく、欲のままに素直に生きていますよね。何も隠すことなく、嫌なものは嫌だと伝えるし、嫉妬したらそのこともまっすぐ伝える。僕もそうあれたら、きっと人との関係性が深くなるだろうなと思いました。ただ、桜夜のような愛情表現は、なかなか日本人にはできない(笑)。

馬場 かなり振り切っている人ですもんね。

古川 演じた役と違って、きっと恋愛に対しては僕も馬場さんも奥手なタイプなんだと思います。一目惚れをしないのも同じだしね。

――では、恋愛観は似ている?

馬場 とはいえ、違うんですよ。

古川 入り口は一緒だけど、中身は結構違うよね。

馬場 私の場合は、恋愛に重きをあまり置いていないタイプ。あったらあったで素敵だけど、なくても困らない。結構ドライなタイプかも。

古川 僕の場合、そこはもっと一般的というか……。

馬場 なんで私は一般的じゃないんですか(笑)。今時の若い子は、私みたいな考えも多いと思いますよ。もちろん、それがいいとか悪いとかじゃないですけどね。

古川 確かにね。ただ、このドラマを見ればきっと、「恋をしなきゃ人生もったいないな」と思えるような気がします。桜夜はいつ死ぬかわからない状況に身を置いているから生き急いでいるけど、実はそれはみんな一緒。臆病になっている人や、一歩踏み出せない人の背中を押すことができるような作品だと思います。

馬場 日常を忘れさせてくれる面白い作品になっていると思うので、ぜひ、楽しんでいただければ。

2022.10.27(木)
文=松山 梢
メイク=唐澤知子、阿部美咲、伊東真美
衣装=石橋万里、狩俣成美
撮影=三宅史郎