この記事の連載
- 錦織一清さんインタビュー#1
- 錦織一清さんインタビュー#2
芸能界に入らなかったらサラリーマンになった?
――ところで錦織さんは、東京の下町、江戸川区平井のご出身ですね。
錦織 平井が生んだ芸能人といえば、月の家圓鏡(橘家圓蔵)さんと五月みどりさん、そして僕ですよ!
――下町で育った錦織さんにとっては、少年隊としてアイドルをされていることにずっと違和感があったとか。
錦織 僕が若いころにしていた活動は、下町の友達からしたら、目の敵のような仕事なんですよ(笑)。「あいつ、下町育ちのくせにスパンコールのバンダナなんかつけてんじゃねえ」ってね。僕の本質としては、祭り半纏を着ている方にハートが近いわけだから。当時は女の子に向けて歌うような曲を歌っていたこともあって、歌いながら自分自身には違和感を覚えていましたよ。
――地元の友達とは、今でも仲良くしてらっしゃるんですか?
錦織 まだ付き合いがあります。よく舞台も観に来てくれますよ。
――芸能界に入っていなかったら、錦織さんはサラリーマンになっていたのでしょうか。
錦織 うーん、サラリーマンではなく、長距離トラックの運転手をしていたかなぁ。外階段がついてるコーポなんかに女房と住んでね。そういうのに、憧れてましたよね。僕は、金子正次さんの『竜二』という映画が大好きなんです。
――1983年、金子さんは脚本・主演をつとめた自主制作映画『竜二』(川島透監督)の公開直後、33歳の若さで亡くなりました。がん性腹膜炎でした。『竜二』はヤクザの世界から足を洗い、妻と娘とカタギの世界で生きるも、ヤクザの世界に舞い戻ってしまう男の生き様を描き、名作として語り継がれています。
錦織 竜二の娘さん役は、金子さんの本当の娘さんが演じていたんですよね。奥さん役は日活の永島暎子さんで、フォーリーブスの北公次さんが弟分でした。若い頃は、ああいうコーポで奥さんと子供と暮らすのが夢でした。セレブとか、ハイソサエティなんて言葉は下町にはないんですよ(笑)。
舞台『サラリーマンナイトフィーバー』
【公演スケジュール】
2022年10月28日(金)~30日(日)大阪松竹座
【スタッフ・キャスト】
作・演出:錦織一清
音楽:岸田敏志
振付:松田尚子
出演:錦織一清、純名里沙、渋谷天笑、舞羽美海、惣田紗莉渚、古原靖久、松浦 司、笑福亭銀瓶、室たつき、楢原じゅんや、アンジーひより、松村彩永
【チケット情報】
大阪松竹座公演のチケットは好評発売中!
チケットWeb松竹 https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/
2022.10.04(火)
文=石津文子