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 今回上演されるミュージカル『ヘアスプレー』は1988年に公開された映画『ヘアスプレー』をもとに2002年にブロードウェイで開幕し、トニー賞の12部門にノミネートされ8部門も受賞したという超人気の傑作である。

 2007年にはこのミュージカルをベースに映画化され、ジョン・トラボルタが特殊メイクをして主人公の母親役を演じたことなどが話題となって、世界的に大ヒットした。三浦宏規さんが演じるのは、「コニー・コリンズショー」のスターダンサーであるリンク役。まずは映画作品の印象について伺った。

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『ヘアスプレー』のサウンドトラックは日常のBGM

 「映画を最初に観た時は、僕はまだ15歳ぐらいの頃でした。その時からサントラを入手して、ずっと聴いているほど大好きになりました。一番引き込まれたのは音楽の素晴らしさ。可愛いと思うところもありますよね。どの曲も全部覚えてしまいました。

 『グッドモーニング・ボルティモア』というオープニングでかかる曲は、朝に流しながら出かける準備をしたり、僕の日常のBGMでもありました。今回僕が演じるリンクは格好良さが異次元過ぎるあのザック・エフロンが映画で演じていた役なので、荷が重いなって思いました(笑)。ありがたいことなんですが、素直に喜べはしなかったですね。

 『ヘアスプレー』は2020年の6月に日本初演を迎えるはずがコロナ禍で中止になりました。当時も僕がリンク役を演らせていただくことになっていて、公演の前にテレビ番組で歌唱披露をする機会があったんです。そのときはまだ台本もいただいていない時期で、『ユー・キャント・ストップ・ザ・ビート』を1曲だけ披露したんですが、リンクの扮装をするのも、ビジュアル撮影の時以来でしたし、タイトなスケジュールの中で振り付けを一気に入れ込んでパッと収録したので、深いところでリンク役として演じた実感はなかったですね。ですから、2年越しにやっとミュージカル『ヘアスプレー』が始動したという感じです」

2022.09.17(土)
文=山下シオン
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=丸山晃穂(JYUNESU)
スタイリング=小田優士