2022年4月15日(金)に箱根・強羅にオープンした「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」。

 構想から約8年、デンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンが箱根の自然を最大限に生かしながらデザインした、話題のスポットを前篇、後篇の2回にわけてご紹介します。


フラワーアートをちりばめたモバイルガーデンを散策

 箱根の中でも自然豊かな強羅に誕生した「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」は、ニコライ・バーグマンの世界観を通して、人と自然がつながる場所を目指したサステナブルなガーデンです。

 約8,500坪ある敷地のうち、今回は約3分の1がオープン。今後も少しずつエリアを広げて、映画鑑賞や音楽ライブもできるような楽しいプロジェクトも進行中です。

 入口から階段を上るとすぐ現れるのは、スカンジナビアスタイルのカフェ「ニコライ バーグマン ノム 箱根」。北欧の家具や照明を取り入れた居心地のいい空間で、箱根近郊の食材を使ったデンマークらしい料理が味わえます。

 園内はすべてキャッシュレス決済で、チケットも前売り制。空きがあれば当日券の販売もありますが、事前に予約するのが確実です。

 自然の地形をそのまま生かしたガーデンは、起伏に富んだアップダウンのある道が続くので、歩きやすい服装と靴で訪れるのがおすすめ。

 園内で刈り取った笹やススキを使ったチップが敷き詰められた道を進むと、ふかふかした感触が心地よく、気持ちもほどけていくようです。

 このガーデン最大の特徴は、笹やアセビ、アジサイなどの箱根に自生している植物以外は地植えしていないこと。ポットやプランターに植えて置くことで、箱根の生態を壊すことなく、季節ごとに植物の入れ替えができる「モバイルガーデン」をコンセプトにしています。

 ニコライ氏は森全体をキャンバスに見立てて、大小さまざまなフラワーアートやオブジェを展示。

 オブジェに使う素材もガーデンで伐採した木や竹、箱根の石などを用いて手作りしたもので、ニコライ氏の感性と自然が共鳴した唯一無二の景色を生み出しています。

 あえて花畑を作らなかったのは、「箱根の自然に目を向けてほしい」という思いから。園内各所にちりばめた鉢物も自然の中に溶け込むデザインを心がけ、春は桜、初夏はアジサイ、秋はススキなど、箱根特有の色や香りが楽しめるのも醍醐味です。

2022.04.29(金)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=平松市聖