着こなしは経験値。着てきた数がモノを言う。
――よく「洋服に着られているな」と感じる時があるのですが、「めちゃくちゃ着こなしているな」と思う人もいますよね。その違いって何でしょうか。
身内で恐縮ですが、小松菜奈という人を見ていると「本当に似合うな」、「なんか空間ごと着てない?」と思う時があって。
彼女はモデル業も本気でやっているからこそ僕よりもファッションに精通しているし、やっぱり着てきた数が違うので、「着こなしているか否か」は単純に経験値のような気がしますね。
たまに、作業服やコンビニの制服がめっちゃ似合う人っているじゃないですか。でも、きっと木村拓哉さんがコンビニの制服を着ていたら似合わないと思うんですよね。それってオシャレかどうかじゃなくて、本人も他人も見慣れているかどうかだと思うんです。
と言いつつも、木村さんがコンビニの制服を着たらそれはそれでかっこよさそうだな。ちょっと例えを間違えました(笑)。
――「洋服を着る」ということは、「その人を形作る」ということにもなるかと思いますが、菅田さんはこれからどういうスタイルを追求していきたいですか?
う~ん……、未来のことを聞かれるといつも考えてしまうんです。どんなものを着ているといいのかなぁ。そういう意味で言うと、もう叶っている気もするし。でも、理想はジーパンでアカデミー賞とかの授賞式に出てみたいですね。
――それはカッコいいですね!
ですよね、それが良いのか悪いのかは分からないですけど、今はやっぱり難しいじゃないですか。
もし将来そうなるなら道が二つあると思っていて。一つはジーパン自体の品格を上げること。もう一つは、それを着る自分の品格を上げることかなと。
ジーパンはやっぱり気軽に自由に穿けるのが魅力だから、そっちが格式高くなっちゃうと不自由な感じがしちゃって、なんか違う気がしますよね。
となると、あとは僕自身の品格と存在感を上げて「菅田将暉だったらジーパンで授賞式に出るのもありだな」と思ってもらえるようになっていけばいいのかなと。
――菅田さんが齢を重ねた時に、どんな洋服を着ているのか気になります。
あ、今一つ将来の夢が思い浮かびました! 孫に「おじいちゃんの洋服欲しい!」って言われたいです。それが一番嬉しいなぁ。僕のおじいちゃん、すごくカッコよかったんですよ。テイラーの仕事をしていたのでめっちゃオシャレで。常にオールバックで、おかんですら「オールバック以外見たことない」って言っていました(笑)。
いつもジャケットを着ているんですけど、意外と90年代ぐらいのディオールとかを着ていたりして「ええ?!」みたいな。
――さりげなくブランドを着こなしていると、なおさらオシャレな感じがしますね。
ですよね。普通に若い世代が「欲しいな」とか「かっこいいな」と思うものを違和感なく着ているおじいちゃんだったので、僕も齢を重ねたらそういう人になりたいです。
2022.04.09(土)
文=根津香菜子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=AZUMA(M-rep by MONDO-artist)
スタイリスト=猪塚慶太