仲間たちと既成概念を覆す作品を作りたい

 2023年度前期連続テレビ小説「らんまん」の主演も決定し、追い風に乗る神木隆之介さん。3歳でデビューし、28歳にしてキャリアはベテランの域だが、常に新鮮な印象を与え続けられる稀有な存在だ。そして彼の意識は今、新しいことへと向かい始めている。

「仕事のスタイルやテイストを変えようとは思っていませんが、最近、違う業種の人たちといっぱい面白いものを作れたらいいなあ~、とは考えているんです」

 屈託のない笑みを浮かべながら、明るいトーンで、はっきりと意思や情熱を伝える。

「僕、友達が多いんですよ。声優さん、作家さんなど同い年ぐらいの人がいっぱいいるので、そういう人たちと既成概念を覆せる作品を作ってみたい。僕の中では『コントが始まる』との出会いがそうで、すごく大きかったんです」

 2021年放送の同ドラマは、神木さんのほか、菅田将暉さん、有村架純さん、仲野太賀さん、古川琴音さんと勢いのある93・96年生まれの俳優が揃う現場だった。それぞれが抱えた鬱屈した思いを、毎話繰り出されるコントの描写とともに描き、新しい青春群像劇を生み出した。演出の一部には、神木さんが提案したものもあった。

「監督、プロデューサー、カメラマン、共演の皆さん……全部の部署が最強メンバーで、僕の中ではすごく革命的でした。今まで自分のやってきた概念やセオリーとは違うことをやってみてもいいのかな、という気持ちが芽生えた作品だったんです」

 挑戦する気持ちをもち、恐れずトライしてみる。自分の殻を破ったからこそ、見えた景色があった。

「挑戦できる場所があることがありがたいですし、たとえ失敗して“あー!”と思っても“ナイスチャレンジ!”という経験に変えられますよね」

 それは、どのような業界でも立場でも同じではないかと、神木さんは考える。

「一歩踏み出したら、何かまた別の見方ができる。その機会は誰にでも平等にあると思うんです。今の時代はスピードが速くどんどん変わっていきますし、失敗とか成功とか関係なく、とりあえず動いた人が勇者ですよね。やったことに意味がある。失敗したら“失敗した”というデータを作れたことになりますし、失敗しなきゃ何も学べないし、やってみないとわからない。そんな気持ちでいます」

2022.03.26(土)
Text=Kyoko Akayama
Photographs=Tim Garo
Styling=Takafumi Kawasaki
Hair & make-up=Mizuho(VITAMINS)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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