シンプルに暮らすのが、私のリフレッシュ法
――聡子は「自分を変えたい」と願い毎日を過ごしています。波瑠さんも同じように思ったことはありますか?
私も対人関係にものすごくコンプレックスがあるタイプの人間です。人と関わることはあまり上手じゃないし、面倒くさがりだし、ひとりが一番落ち着く。だからお友達と仲良くするのは好きだけど、仲良くなりすぎるとちょっと疲れちゃったりするので、ある程度、自分にとっての平穏が保たれていないと、人とも上手く関われないほうかな、と思います。
そういう自分に気づく前は、「友達とは上手くやれたほうが大人だ」と思っていたので、あまり気が進まない誘いにも乗ったり、時間があるという理由で友達に会ったりもしていました。そうこうしている中で、自分に必要なものが「ほどよい距離感」なんだなと身をもって分かったというか。
なので結論、変わろうとしたけどやめたのが私ですね。
――変わる必要がなかったんですね。ご自身の平穏の保ち方、リフレッシュ方法も発見しましたか?
そうですね。予定は入れすぎないようにしています。睡眠不足になるとダメなので、基本的にだいぶゆとりをもって動ける予定しか、入れないようにしています。だから、人との約束もほとんどしません。連ドラに入って忙しいときは、何ヶ月も仕事以外の人には会わないこともあります。
でも、ドラマが終わって時間があっても、自分の好きなようにしか過ごしていないかも(笑)。睡眠を削らずに取って、好きな日本や海外のドラマを観たり、スーパーに行ってごはんを作って食べたり……すごくシンプルに暮らすのが、私のリフレッシュ法なのかもしれません。こう考えると、めちゃめちゃ普通に地味に暮らしていますね(笑)。
――日々を丁寧に過ごされているんですね。聡子は30歳まで恋愛経験ゼロでしたが、昨今恋愛をしない人もいたり、反対に年齢を重ねて還暦を超えてからの結婚や再婚をたどる人もいます。波瑠さんにとって、今、恋愛はどういう位置づけのものですか?
もちろんしなければいけないものではないと思います。苦手な人もいますし、逆に恋愛を克服して新しい自分と出会いたい、という人もいると思います。いろいろな恋愛があり、結婚があり、男女だけじゃなく、男性と男性、女性と女性でも、いろいろな感覚を持った人が、もっと恋愛というスタイルを自由に取れるようになるといいなと、すごく思います。
自分のことで言うと、私はひとりが好きなので、あまり向いているほうじゃないですね。でも、他人にしか元気にしてもらえない部分は誰でもあるから、恋愛じゃなくても、いろいろなパートナーの形はあると思うんです。そういうものがもっと浸透すると、多くの人がもっと生きやすい世の中になるんじゃないかな、と思います。
――ちなみに、友達から恋愛相談を受けるほうですか?
私、たぶん、アドバイス下手というか……(笑)。きっと女性の多くが相談というよりも、「分かる!」で終わっても良いコミュニケーションを求めていると思うんです。でも、私は相談ごとを「うん、うん、うん!」とすごく真面目に受け止めて「こうじゃないのかな? こうだと思う」と考えて話してしまうので、ニーズが合わなくて(笑)。
きっと私のアドバイス、重いんだと思います。「ただしゃべりたかっただけなのに」という友達が多かったみたいで、需要がなくなりました(笑)。
波瑠(はる)
1991年6月17日生まれ。東京都出身。2006年WOWOWドラマ『対岸の彼女』でデビュー。2015年、NHK連続テレビ小説『あさが来た』でヒロイン・白岡あさ役を務める。最近の主な出演作に映画『弥生、三月 -君を愛した30年』、ドラマ「#リモラブ~普通の恋は邪道~」、「Night Doctor」、「愛しい嘘~優しい闇~」など。
Amazon Prime Videoドラマ『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』
2022年3月18日(金)よりAmazon Prime Videoで独占配信中
自分に自信が持てない図書館員の聡子(波瑠)は、ある日、優しく紳士的な涼介(瀬戸康史)と出会い一瞬で恋に落ちる。運命の恋をかなえるため、自分を変えたいと強く願う恋愛経験ゼロの聡子。そんな聡子の前に突如、フランス文学「恋愛論」の作者・スタンダール(小日向文世)だと名乗る男が現れる。涼介との恋を実らせるため恋愛のノウハウで聡子を導き、徐々に生まれ変わらせていくスタンダール!次第に接近する聡子と涼介。しかし、聡子のある過去の秘密が発覚しそうになり......。明かされる感動の真実、そして、聡子の恋の行方は?
出演:波瑠 瀬戸康史 / 小日向文世
監督:前田哲
プロデューサー:土田真通 中野剛 髙橋直也
原作:水野敬也「運命の恋をかなえるスタンダール」(文響社)
2022.03.19(土)
文=赤山恭子
撮影=深野未季