行き詰まったときに必要なのは脳内の旅!
――波瑠さんは非常に思考するタイプなんですね。考えすぎて「ああー、疲れた!」となりませんか?
なります、なります(笑)。私、考えなくてもいいことまで考えて疲れる人間なんですよ。でも、上手にコントロールできなくて。人から言われたこと、その日にした会話とかも、なかなか頭から離れないんです。家に帰ってもずっと覚えていて、脳の中のギガバイトがずーっと消耗されている、みたいな(苦笑)。
家族からは「あんた、そんなことを考えながら人としゃべっているの?」、「変わっている」と言われるので、「ああ、そうなんだ」と思います。
――例えば、「よし、今日はお酒を飲んで忘れよう!」とはならない、ということですよね。
お酒を飲む場や雰囲気は好きなんですけど、酔っ払うのは全然好きじゃないんです(笑)。酔っ払わなければ言わないようなことを言っちゃって、後で考えてしまうのが好きじゃなくって。だからお酒を飲んで忘れる、解放! とはならないんですよね。切り替えが下手なんでしょうね。
――今、波瑠さんがお話されたことは、多かれ少なかれ誰もが経験があると思います。あまり考えなくするように編み出した対処法などは、ありますか?
説明が難しいんですけど、意識して(脳内を)旅するようにしています。今この状況とまったく関係ないところに脳を行かすというか。そのまま10分ぐらい経つと、すごく気持ちいいんです。もしかして、瞑想に近い作業なのかもしれないです。人としゃべっていたり、みんながいる場なのに、たまにこうやって……(脳内を旅している表情)、分かります(笑)?
――心を違う場所に持って行くとでも言いますか、意識的にできるのがすごいです!
意識的にもしているんですけど、限界が来ると勝手にそうなっちゃったりもします(笑)。例えば、役のことを考えて、考えすぎて、「うーん、答えが出ない!」というとき、1回ポーンと手放して全然違うことをやっているときに、「あっ」と腑に落ちたりするんです。1回忘れたからこそ、全然関係のないものにヒントをもらったり。
だからか、何年か前の作品でも、その瞬間、瞬間のことは考えたからこそ覚えていたりするんですよね。
2022.03.19(土)
文=赤山恭子
撮影=深野未季