きょう2月28日は、俳優の上白石萌歌の22歳の誕生日である。姉はよく知られるとおり、同じく俳優の上白石萌音だ。NHKの連続テレビ小説では、姉が第1部のヒロインを務めた『カムカムエヴリバディ』が4月に終わったあと、新たに始まる『ちむどんどん』には萌歌がヒロインの妹役で出演する。

 姉妹は2018年に映画『羊と鋼の森』で共演している。これに合わせて『週刊文春』の巻頭グラビア「原色美女図鑑」にも一緒に登場した。写真に付された記事では、劇中においては奔放な妹に繊細な姉が翻弄されながらストーリーが展開されるが、実際の2人はどうなのかとの質問に、妹の上白石は《大まかには自分たちと似ていると思います。私は好きな人に自分から行きたいほうだけど、姉は行けないタイプだったり(笑)。姉は色んなところに意識が行き渡っていて、さりげなく周りに気が遣えるところがうらやましい》と答えていた(※1)。

史上最年少で「東宝シンデレラ」グランプリを受賞したが…

 筆者の個人的な印象では、優等生タイプの姉に対し、上白石は天才肌というか、天真爛漫というイメージがある。実際、映画やドラマでもそういう役を演じることが多い。コロナ禍による延期を経て昨夏公開された映画の最近作『子供はわかってあげない』でも、水泳部に所属するアニメ好きの高校生を、喜怒哀楽たっぷりに演じていた。

 もっとも、じつは上白石はもともと歌うのは好きだったが、人前に出るのは苦手で、俳優になるつもりはまったくなかったらしい。姉が審査員特別賞、彼女が史上最年少の10歳でグランプリを受賞した2011年の第7回「東宝シンデレラ」オーディションには、当時習っていたミュージカルの先生に勧められ、応募条件が10歳からだったので受けることになったという。

 

 それが心変わりしたきっかけは、オーディションの合宿審査の際に、ひとりで大勢の人の前で歌ったことだった。彼女いわく《初めて人前で何かをするってこんなに楽しいんだと思いました。この快感、その瞬間だけ自分じゃないみたいな感じは忘れられないなって》(※2)。このとき覚えた快感が、彼女を芸能の道へ歩ませることになる。

2022.03.02(水)
文=近藤正高