これまでになく過酷な役作りと現場

――そんな『HK~』は、これまでの仕事でいちばん大変だったと聞いていますが?

 体づくりでは、ヒーローらしい体に見せるために、体重を一度15kgぐらい増やしたうえで、脂肪をそぎ落とすという作業をしたんです。ところが当初はキャスティングの4カ月後に撮影が始まる予定だったので、それにあわせて体作りをしたら、半年後に撮影が延びてしまった。しかも、いざスタートしたと思ったら「今回は4日しか撮影できない。残りは3カ月後」と言われたときは先が見えなくなりましたね。撮影では寒空のなか、ほぼ全裸で戦っていましたし、マスクをかぶっていましたから「俺じゃなくてもいいのか?」とか思い始めたりと、つねに恐怖と葛藤との戦いでした。楽しかったんですけど……役者の仕事は楽しければ楽しいほど、辛いんですよね。

――その苦労もあり、作品は話題を呼び、大ヒット。次々に海外で公開されるなど、自身の代表作ができたことに関しては、どのように捉えられていますか?

 ずっと脇役が多かったので正直、役者として代表作がほしかったからうれしかったですね。僕としては『ふたたび~』も自分の代表作と思っていますけど、商業的にもヒットしないと世間では代表作とはいえないですから。塩屋さんは映画がヒットしたことは喜んでくれたんですが、作品を見ないまま、亡くなってしまったんです。でも、それが彼らしい。撮影は今回の『ガッチャマン』の方が先なんですが、『HK~』『ガッチャマン』と続いたことで、実は自分のなかでアクション俳優の匂いがしてきてるんですよ。全然そこは目指してなかったんですけど……(笑)。

<次のページ> 『ガッチャマン』はシリーズ化させたい

2013.09.06(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Hirofumi Kamaya