先進国の中で、一人当たりの果物消費量が最低水準と言われている日本。欧米諸国の3分の1程度とも言われているほど低い水準なのだとか。

 四季折々の景色を楽しむように、その月ごとに旬を迎える果物を楽しんでほしい。

 そんな思いを込めて、果物の恵みで私たちの生活を豊かにしてくれる日本橋 千疋屋総本店で提供されている旬のフルーツをご紹介します。

 2022年2月と3月の果物は、人気の柑橘「せとか」と「デコポン」。この季節、そしてこれからどんどんおいしくなる2つのフルーツをご紹介。

柑橘の女王「せとか」のパフェはまさに絶品

 「立春」の2月、もう少しで春が訪れる。そんな季節が「せとか」の旬です。12月に紹介した冬の風物詩・温州みかんの食べごろはだいたい1月下旬ぐらいまで。ちょうど入れ替わるようにみかんよりも少し大きな「せとか」が春の訪れとともに食べごろを迎えます。

 「せとか」の最大の特徴はその食味。「清見×アンコール」と「マーコット」の交配種として誕生した「せとか」はそれらすべての品種の良いところが詰まっているとされ、柑橘の女王とも称されています。

みずみずしさ、濃厚さ、食感、欠点なしの「せとか」

 晩成で糖度の高い品種である「せとか」ですが、糖度12度以上、酸濃度1%以下という厳しい水準をクリアする必要があります。そのためには樹上でしっかりと育成・越冬させる必要があり、2月ぐらいに食べごろを迎えるのです。収穫後は「予措(よそ)」と呼ばれる乾燥工程を経て、さらに食味をアップ。高級柑橘として店頭に並びます。

 そうして、みっしりと果実が詰まった「せとか」は皮が薄くて剝きにくいことも。そんな時はナイフなどで、八つ切りにすると食べやすくなります。内皮も薄く、種もない「せとか」はまさに逸品です。

2022.02.25(金)
文=渡里友子
写真=釜谷洋史