先進国の中で、一人当たりの果物消費量が最低水準と言われている日本。欧米諸国の3分の1程度とも言われているほど低い水準なのだとか。
四季折々の景色を楽しむように、その月ごとに旬を迎える果物を楽しんでほしい。
そんな思いを込めて、果物の恵みで私たちの生活を豊かにしてくれる日本橋 千疋屋総本店で提供されている旬のフルーツをご紹介します。
今回は、この時期の定番となったシャインマスカットがテーマです。
実は日本生まれ! 大人気のシャインマスカット
鮮やかなグリーンが印象的で、糖度の高いシャインマスカット。実は日本生まれだとご存じでしたか? 「安芸津21号」と「白南」の交配種として誕生、2006年に品種登録をされました。
ぶどうの歴史は極めて古く、古代エジプトの壁画にもぶどうが描かれているそう。ヨーロッパでは「ぶどう酒」というように、ワインの原料として活用されてきました。日本でも山ぶどうと思われるものが弥生時代の遺跡から出土するなど、古くから親しまれています。
今回紹介するマスカットも2000年以上の歴史を持ち、その芳しい香りは「麝香(ムスク)」に例えられるほど。クレオパトラすらも夢中にさせたと言います。日本では1886(明治19)年、岡山で初めて栽培に成功しました。
それが「マスカットオブアレキサンドリア」。その上品な甘さと豊かな香りは、緑のダイヤモンドとも呼ばれる、珠玉の結晶です。透き通る薄い皮と上品な味わいは、今でも高い人気を誇り、千疋屋総本店でも贈答品の定番として長きにわたり愛されています。
一方、シャインマスカットは種がなく、皮にも渋みが少ないので丸ごと食べられることが大きな特徴。それでいて、しっかりした甘さと爽やかなマスカット香もあり、海外でも人気な品種です。
さらに、比較的育てやすく、8~10月と旬の時期も長いシャインマスカット。スーパーなどでも見かけるように「身近で、特別」。シャインマスカットはそんな果物と言えるでしょう。
シャインマスカットの見分け方
ぶどうは追熟しない果物。シャインマスカットも購入したらすぐに食べてしましましょう。皮にツヤがあり、ハリのあるみずみずしいものを選ぶのがコツです。
すぐに食べない場合は、冷蔵庫で保存してください。房のままの保管で大丈夫です。
2023.08.13(日)
文=宇野なおみ
撮影=釜谷洋史