「4人の時もこんなに面白いんだ」と思ってもらえるように

――ただ、3人が売れていくことで、「自分はぼる塾に必要なのか?」と葛藤されたとも書かれていました。

 私、見えない敵と自ら戦いに行こうとしてしまうところがあるんです。だから、私は必要なんだろうか?と悩んでしまったんけれども、3人から「酒寄さんは本名すら知らない人の意見を信用するの? 私たち3人が必要だって言ってることを信用してよ」って言われて。本当にその通りだなって思いました。

――「自分は必要ないんじゃないか」という口に出すのも怖くなる葛藤を、田辺さん、そしてきりやさんとあんりさんに直接伝えるのって勇気がいったんじゃないですか?

 そうですね。最初は私の気持ちに気づいてよって思ってたんですけど、ある日、エスパーじゃないんだから無理だってことに突然気づいて。自分の気持ちは言わないと伝わらないなと思ったので言ってみたら、田辺さんに「そんなふうに思っていたとは知らなかった」と驚かれて、伝えることってやっぱり大事なんだなと思いましたね。

 以前、通りたいところに人がいた時、「ごめん、ちょっと通りたいんだけど」っていう一言が言えないことがあったんです。

 あと、「ネタが面白いけど、どうやって作ってるの?」って聞きたかったのに言えなかったこともあったんですけど、田辺さんが「それ言って相手はイヤな気持ちになる? 自分が言われてイヤな気持ちにならないことだったら言っても大丈夫だよ」って教えてくれた。

 そのことも思い出して、もし3人が逆の立場で自分が必要か悩んでいるなら絶対に言ってほしいなと思ったので、素直に伝えました。

――悩みを打ち明けてから、4人の関係性はどうなりましたか?

 なんでも思ったことは言い合うようにしようって決めました。少しでも気になることはお腹に溜めない。4人の中では我慢をなくそうって約束しましたね。

――今後の活動について、今考えていることはありますか?

 YouTubeの編集も勉強しているところなので、出演するだけではなく、私ならではの視点で編集にも関わっていけたらいいなと思っていますし、ネタ作りにもどんどん参加していきたいなと思ってます。

 はるちゃんって賞レースでバチバチしたいタイプで、突然、夜中に「見ててください、テッペン取るんで!」とかLINEで送ってくるんです(笑)。そんなはるちゃんが「4人でテッペン取ります」って言っているので、4人でのネタも少しずつ試していきたいですね。

 3人のぼる塾だけではなく、4人の時もこんなに面白いんだと思ってもらえるようなネタを作りたいなと思っていて。ネタ作りは早く取り掛かるに越したことはないので、劇場などで4人で舞台に立つ機会も作ってもらって、今後は4人で表舞台に立つような活動もしていけたらいいなと思っています。

酒寄希望(さかより・のぞみ)

1988年4月16日生まれ、東京都出身。2012年5月に田辺智加とお笑いコンビ・猫塾を結成。19年7月、男の子を出産。19年12月に田辺智加とお笑いコンビ・しんぼるのきりやはるか、あんりとお笑いカルテット・ぼる塾を結成。育休中の現在は、ネタ作りやYouTubeのナレーションなどを担当している。

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2022.02.11(金)
文=高本亜紀
撮影=鈴木七絵