「結婚しました」って言ったら面白いかなって
――酒寄さんは芸人になってから結婚して出産して、現在は子育ての真っ只中ですが、結婚することにためらいはなかったですか?
なかったですね。養成所の授業で「最近、なんかあった?」って急に(話を)振られることがあって。その時、結婚しましたって言ったら面白いかなって。その思いつきがきっかけで結婚したようなところはありました。……そう考えると、芸人になってなかったら結婚してなかったかもしれないですね。
――芸人という道を選んだことで、人生がかなり変わられたんですね。妊娠がわかった時、田辺さんが「酒寄さんとコンビを続けたい」と言ってくれたことが心強かったと、著書に書いていましたね。
本当に心強かったです。それまで「お笑いに関しては全部、酒寄さんに合わせる。なんでもいい」って言っていた田辺さんが、自らの意思で続けたいと言ってくれた。自分の好きなことに対して一生懸命な人だとわかっていたので、これは本気で言ってくれているなと。
私も田辺さんが表舞台に立っているところが見たいという気持ちがずっとあったので、ここでコンビが終わっちゃうのは悔しくて……。けれど、私が続けたいからという理由だけで田辺さんは待っててとは言えないなと思っていたので、先に言ってくれてすごく嬉しかったです。
――酒寄さんのパートナーが、芸人という仕事を理解してくれている部分も大きいのかなと思うのですが。
夫は元々お笑いを見るのが好きですし、田辺さんとも何回か一緒にご飯へ行ったりしていて仲がいいんです。だから、いつも「田辺さんはほっとけないよねぇ」って言ってます。
あと、こんなことを言うと田辺さんとはるちゃんに失礼かもしれないんですけど、夫は「あんりちゃんがいるから安心できる」と言っていて(笑)。あんりちゃんがいてくれることで、猫塾時代よりも安心して応援してくれているみたいです。
――猫塾のままだったら、出産してすぐ復帰しなければいけなかったかもしれなかった。けれど、ぼる塾になったこと、そしてYouTubeが普及したことによって、お子さんとの時間も持ちながら芸人としての仕事もできるようになったのは、酒寄さんにとってラッキーでしたよね。
田辺さんは「奇跡が起きた!」って。1回、今の状況についてちゃんと考えてみようと思ったらしいんですけど、「やっぱり奇跡としか言いようがないね!」って言ってました(笑)。
ぼる塾の結成期間は短いんですけど、しんぼる時代のあんりちゃんとはるちゃんとは出会ってから長かったので、(結成前から)4人の信頼関係が築けていたことも大きかったと思っています。
2022.02.11(金)
文=高本亜紀
撮影=鈴木七絵